旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは旬の食材の魅力をご紹介します。旬のものをたくさん食べて、体の内側から健康に、きれいになりましょう!
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
まつたけの香りを珍重するのは日本人限定!?
きのこの王様は? と問われれば「まつたけ」と答える人が多いのではないでしょうか? 「香りまつたけ、味しめじ」という言葉もある通り、独特の香りが特徴のきのこです。国産の松茸の旬の時期は9~10月。今がまつたけの最盛期です。
土瓶蒸し、炊き込みご飯、焼きまつたけなど、香りを楽しめるシンプルな味付けの料理が一般的です。
まつたけの香りの成分はマツタケオールと呼ばれるもの。古来、この香りを日本人は好んできたようで、万葉集の中にもまつたけの芳香を詠んだ歌が存在します。
実は、まつたけの香りを珍重するのは日本人独特のもので、海外ではこの香りを嫌うところもあるようです。
まつたけが他のきのこよりも高価な理由は、人工的に栽培ができないことに加え、アカマツの林にしかほぼ自生できないと、採取される場所も非常に限定されていることが理由です。
残念なことに、環境破壊によってアカマツ林も激減しているため、採取量は減少の一途をたどっています。ついに2020年には、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストの更新時に絶滅危惧種に指定されてしまいました。
ということで近い将来、まつたけを食用として採取することができなくなる恐れも……。秋の風物詩として毎年、まつたけを楽しみにしている人にとっては悲しいことですね。
美味しいまつたけの見分け方
かさは肉厚、軸は硬く太いものを。また、表面が乾燥しているものは香りが失われていることがあるので、軽く触れてみてしっとり感じるものを選びましょう。また、傘の裏のひだが黒ずんでいるものは香りがとんでしまっている可能性があります。
まつたけは、傘の開き具合によって3種類に分類されます。傘が開いていない未熟なものは「ころ」、傘が十分に開ききっていないものは「つぼみ」、傘が完全に開いたものは「開き」と呼ばれます。
「ころ」は身が柔らかく、香りは控えめ。香りと旨味のバランス、身の弾力が抜群なのは「つぼみ」のもの。いっぽう、香りが強いのは「開き」のものです。ただし、開きは香りが飛びやすいので、採れたてのものを食べることをお薦めします。
まつたけの注目栄養素
まつたけには、他のきのこ同様、食物繊維や骨の健康を守るビタミンDなどが豊富に含まれています。また、、腸内環境を整え、免疫力アップもサポートする食物繊維の一種であるβグルカンも豊富に含まれています。
香り成分のマツタケオールには食欲を増進させたり、気持ちを落ち着かせる作用があることがわかっています。