登録有形文化財の家屋でしっとりのんびりと食す。塩で食べる“おとなの串揚げ”
2軒目、串揚げ屋『はん亭』さん。明治時代に建てられ、文化庁の登録有形文化財にも指定された、総けやき造りの日本家屋の店舗。根津のノスタルジックな下町風情を象徴するようなこちらのお店は、界隈のランドマークと言っても過言ではないかも。
こちらはコースでいただきました。最少12本から。一巡して足りなければ、「もっともっと」と書かれた追加メニューあり。旬のお野菜、肉・魚などあれこれの間に箸休めが2品。お通しは、消化を助けるキャベツや大根などを自家製味噌で。調味料は塩とタレの2種。
「紫蘇巻きの海老」塩で。“調味料に塩を選びはじめたら大人の仲間入りよね(私見)”、と最初に思ったのはお寿司屋さんだったな。「イカを塩で、すだちを搾って」なんつって。その瞬間「あ、いま私大人の階段登ったな」と思ったけれど、多分声は震えてた(笑)。
「枝豆」円形? と思ったら中はずんだと枝豆の粒。2種の食感がうれしい。
「豚肉巻きの谷中生姜」豚肉に気づいたのがふた口目だったのは、最初のひと口目、余りに生姜の香りが豊かだったから。
「箸休め」キノコのポタージュ。スープと思って飲むと、その粘度に驚くトロリ感。豆乳の香りが私好み。
「鱧の梅肉ソースがけ」梅肉がさっぱりでハモの味もちゃんと味わえる。
「蓮根の肉詰め」詰めたお肉がカレー味! 店員さんが事前に敢えて説明しないからこそのサプライズ。
「帆立の丸揚げ」ぷりぷり肉厚、甘み抜群。
「牛肉と牛蒡」牛肉が柔らかいのに弾力も楽しめる不思議。火の入れ具合に職人さんの手腕が光る一本。
「生麩」味噌ダレのようなピーナッツソース。シンプルな生麩にぴったり。
「太刀魚」ひと口目と最後に来るインゲンがいいアクセント。
「イカのウニソース」噛み応えのある肉厚のイカ。ウニソースの甘みと香りが最後まで口の中に残って幸せ。
「大黒しめじ」しめじだけかと思ったらチーズとベーコンも! 肉詰め同様、内容を知らされないからこその楽しいびっくり。
「海老芋」ダシで煮た、ねっとりした絶品お芋を、お塩でいただきフィニッシュ。
各品、ひと工夫が面白く、次はどんなかな? と想像しながら待つ時間も楽しいお店でした。根津はまだまだ掘り甲斐がありそう。では、また来月!
■『はん亭 根津本店』
[住所]東京都文京区根津2-12-15
[電話番号]03-3828-1440
[営業時間]11時半〜15時(14時15分LO)、17時〜22時(21時LO)※日はネタ切れ早仕舞いあり
[休み]月※祝の場合は翌休
[交通]地下鉄千代田線根津駅2番出口から徒歩1分
■吉田 羊(よしだ よう)
2月3日生まれ、福岡県久留米市出身。小劇場を中心に活動後、TV・映画などの映像へと活動の幅を広げる。2007年『愛の迷宮』で連ドラデビュー、2014年には『HERO』でクールな女性検事を演じ注目を集める。映画『ビリギャル』では第39回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞した。2021年には舞台『ジュリアス・シーザー』で第56回紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞。現在は、映画・ドラマ・舞台・CM・ナレーションと幅広く活動。2022年には俳優デビュー25周年を迎えた。
※記事の内容・情報は、2022年11月号掲載時のものです。最新情報はお店のSNSやHP等でご確認ください。