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女優・吉田羊さんが本誌「おとなの週末」で連載しているグルメエッセイ「ヒツジメシ」が1冊にまとまりました。その書籍「ヒツジメシ」発売を記念して、本誌の連載記事を特別に公開します。今回は、2022年10月号、第93回をお届けします!

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ども、羊です。舞台閉幕の2日後、私は群馬県高崎市におりました。この日の最高気温は37℃。顔に汗をかかない女優を自称していた私も、さすがにうっすらと額に汗が。そんな中、汗だくで並んででも食べたいラーメンに遭遇。今月は高崎から参ります!

行列必至! されどお店の方の心遣いに胸打たれたラーメン店

JR高崎駅から車で6分ほどの場所にある中華そば店『自家製麺 くろ松』さん。

事前情報によると、連日行列必至の大人気店で、Google評価は信頼できる4.2(高すぎるとサクラを疑う慎重派)。この日も我々の前に7組の予約待ち、入店までに30分はかかろうかという状況。

予約表に名前を書き込んでいると、中から店員さんが現れ「店前は日影がなくて暑いので、近くの涼しい場所でお待ちくださいね。お待たせしてすみません」と声をかけてくれた。なんという気遣い。そしてなんと柔らかい物腰。炎天下待機が、そのひと言でちっとも苦ではなくなるから優しさってすごいよね。

『自家製麺 くろ松』さんの前にて
『自家製麺 くろ松』さんの前にて

思えばこの時から、この店の「品格」は駄々洩れだったのだ。と気付くのは30分後入店してすぐのこと。店内をぐるりと見渡せば、そこここに店主の気遣いが。まず、カウンター9席の後ろには、待機用のベンチ。ここで注文し、カウンターにピットインする時にはすぐにラーメンが出てくる仕組み。

店の奥には2台のスツールが置いてあり、「食事後待ち席」の張り紙が。効率よく回すために、食事を終えた方は席を空けてこちらでお待ちくださいということらしい。そしてその横にはベビーベッド。店主にお子さんがおられるようで、子連れ客への気遣いも行き届く。

極めつけは店主の後ろの壁に掲げられたお嫁さんによる直筆訓辞。「混んだ時こそ落ち着いて プレッシャーに負け怖い顔しないで」。その言葉通り、先ほどの店員さん同様丁寧な言葉遣いで、身内にもお客にも、何なら全人類に敬意を払っているんじゃなかろうかと思わせるジェントルマン店主(スタッフさんのことを「さん」づけで呼んでた)。

嗚呼、ここの評価が高いのは、きっとその精神性も含まれるに違いないと思いながら、出てきたラーメンを食べて、否! 主軸はやはりラーメンなのだと確信する。

黄金色スープの「(竹)中華そば(白醤油)」(750円)。
黄金色スープの「(竹)中華そば(白醤油)」(750円)。

キリリと透き通った黄金色のスープ、程よい噛み応えを残したもちもち麺、本格メンマに彩りの新鮮三つ葉、ダシを楽しませるべく敢えて薄切りの上品な味付けチャーシュー。それらすべてが一体化して、器の中で極上の宇宙を作っていた

スープひと口目から、あ”あ“、と深い息が漏れる。シンプルに見えて何層も旨みの扉があるような奥深き白醤油ダシ。五臓六腑に染み渡る感覚を身体が喜んでいるのがわかるほどだった。

「うに醤油漬け卵黄ごはん」も一緒に注文。「崩さずにご飯にぽんと乗っけてください」という言葉が聞き取れず、先に崩して混ぜちゃったのは、はい私です。おすすめを無視したみたいになってごめんなさい(ぺこり)。

「うに醤油漬け卵黄ごはん」(250円)。卵黄、次回は崩さず乗せます
「うに醤油漬け卵黄ごはん」(250円)。卵黄、次回は崩さず乗せます

炎天下、汗だくで待っても余りある口福をもたらしてくれるお店。いつかまた再訪したいな。

■『自家製麺 くろ松』
[住所]群馬県高崎市柳川町9-5
[電話番号]027-388-0309
[営業時間]11時~15時(14時45分LO)※売り切れ次第終了
[休み]日・不定休(Twitter参照)
[交通]JR上越線ほか高崎駅西口より群馬バス高崎郵便局前下車徒歩1分

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