2022年11月、本誌で「新幹線飲み」の記事を作る際降りた熱海駅のファミリーマートで二度見するような商品に出合った。「富士宮やきそば」の缶詰だ。
富士宮やきそばといえば、言わずしれた静岡県富士宮市のご当地グルメ。一般的な焼きそば麺と違ってコシのある麺を使って作られている。「肉かす」が入り、お皿に盛り付けたあと「だし粉」をたっぷりとかけるのも特徴だ。
それが缶詰として売られているというのだから面白い。こりゃ買わないテはないと、即座に購入した。
家に帰って食べようと思い、ふと缶に目をやると、またしても二度見するような出来事が。販売者にホテイフーズコーポレーションと書いてあるのではないか。
あの「やきとり缶」でおなじみのホテイフーズさんの商品だったのだ。にしても、なぜ、富士宮焼きそばを? と思ってさらに缶に書かれた文字を読み進めると、ホテイフーズが静岡・清水に本社を構えていることがわかった。なるほど。地元のご当地グルメを缶にしたということか。
ホテイフーズは、1933年に三共商会という名前で創業。最初はツナ・みかん缶詰製造の会社としてスタートしたそう。有名なやきとり缶の販売は1970年。今では多種多様なつまみ缶のハシリといえるだろう。
ちなみに、商品に描かれているイラストのキャラクターには名前がついている。ベーシックな「やきとり たれ味」に描かれてるのが「若旦那」。「ヤキヤキ親父」が静岡県の繁華街で営む焼鳥店の近所で呉服店を営んでいる。着物がトレードマークで趣味は落語なんだとか。日本酒が大好きで、つまみはもちろん焼き鳥。そのペアリングで飲むのが日課だそう。
とまあ、あのキャラキターたちにここまで細かな設定があったことに驚いた。話は逸れたが、ホテイフーズの缶詰はやきとりのみならず、貝類にサバやツナ、フルーツなど枚挙に暇がない。その中で異彩を放つ缶詰のひとつが「富士宮やきそば」缶というわけ。