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世界で初めてお米由来のスピリッツを使用、ブレンド水は京都・月の桂の“中硬水”

「季の美 京都ドライジン」ボトル1本(700ml、参考小売価格5500円)の構成比は、ベーススピリッツとなるライススピリッツが45.7%、ブレンド水が約54%、ボタニカル由来フレーバー成分は1%未満にとどまります。

「ボタニカルがいっぱい入っているというイメージを持たれている方は多いと思うのですが、ボトルの中の構成比でいえば、全体のたった1%未満。ただ、1%に何を使うのかで、全く個性が変わってくるのが、ジンの面白さです」

だから、ボタニカルが重要となってくるのですが、季の美では、ベーススピリッツと水にも強いこだわりがあります。

「99%がボタニカル以外。だから、ここに最大限こだわらないと最高のジンがつくれるはずがないというのがブランド哲学」と前置きした上で、加藤さんが説明します。

「ジンは、ベーススピリッツにボタニカルを漬け込んで、蒸留をして製品化するのが、製法の流れ。ベーススピリッツに何を使うのかでキャラクターが大きく変わってきます。よく使われるのは、さとうきびやとうもろこし、麦とかが一般的です。お米は、世界初といわれているそうです」

お米を使うことで、ほんのりとした甘み、スムースな飲み口の実現につながったのだといいます。

では、なぜ、お米なのか。加藤さんが興味深いエピソードを披露してくれました。

「ベーススピリッツに何を使うのか、最初にレシピを作るメンバーで語り合ったそうです。どれがいいのか、それぞれ(の素材)に一長一短がある。そこでメンバー5人でブラインドテイスティング(中に何が入っているか分からない状態で試飲)をしたところ、5 人の満場一致だったのがライススピリッツでした」

ライススピリッツを用いる背景には、こんな経緯があったわけです。

ブレンドの水は、前述の通り「月の桂」の仕込み水を使用しています。軟水の中で少し硬度が強い「中硬水」。加藤さんによると、日本の軟水は硬度が20~30mg/Lぐらいで、海外のエビアンは300 mg/L程度。

月の桂の仕込み水は、硬度が100mg/L程度といい、「日本の軟らかいものに比べると少し硬いんだけど、海外ほどは硬くない。つまり、絶妙なバランスのお水。これをブレンドすることによって、複雑味が出てくるのです」

京都発のクラフトジンにぴったりなボタニカルを連想させる和のパッケージデザイン。創業1624年の京都の唐紙屋「雲母唐長(KIRA KARACHO)」が監修

クラフトジンの定義とは

そもそも、クラフトジンとはどういったお酒なのでしょうか。

ジンとはEUの定義では、下記に挙げた点になります。
・農作物由来のエタノールを使用し、ジュニパーベリーのフレーバーを付加
・瓶詰時のアルコール度数が37.5%以上
・天然および人工の香料を使用し、ジュニパーベリーの香味が主体

そしてクラフトジンについては、加藤さんによると、明確な定義・規定はないとのこと。一般的にはその土地ならではの素材、ボタニカルを使用し、小規模の独立した蒸留所で伝統的かつ革新的な製法で造られたジンだといいます。

ちなみに、重要な味の要素となるジュニパーベリーとは、西洋杜松(ねず)の果実を乾燥させたもの。ジュニパーはヒノキ科の針葉樹で、松の木のような香りを放ちます。ジンは17世紀、オランダで薬酒として誕生しましたが、「ジュニエーブル」という名称(ジュニパーベリーのフランス語)が、その後「ジュネバ」と変化し、さらに短縮されて現在の呼び名になったということです。

季の美ブランドアンバサダーの加藤寛康さん
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