「イギリスでも認められるような音楽を」1971年にミカバンド始動
ザ・フォーク・クルセダーズ解散後、加藤和彦はソロ活動をスタートさせる。1971年春にリリースされた北山修との連名によるシングル「あの素晴しい愛をもう一度」は大ヒットとなった。
“ソロ活動を始めるにあたって決めたことは売れる売れないに関わらず、常に新しいことをやってゆくこと。そして同じことも繰り返すのも避けると決めた。ミュージシャンとして常に新しいことをやりたかったんだ”
このポリシーはザ・フォーク・クルセダーズ以降の音楽活動の指針となった。
ザ・フォーク・クルセダーズ解散後、加藤和彦は度々ロンドンを訪れている。当時、イギリ スから世界へ広がった人気のシンガー・ソングライター、ドノヴァンをもじったトノヴァ ンという愛称もこの頃生まれた。
“ドノヴァンには、その歌唱法に影響されました。イギリスにあの頃何回も行ったのは、大きく影響されたザ・ビートルズが生まれ育った土地の空気を肌に感じたかったからかな。で、何とかイギリスでも認められるような音楽を作りたくなった”
1971年晩秋、当時の妻ミカをヴォーカルに据えたサディスティック・ミカ・バンドをスタートさせる。1972年にレコード・デビューしたサディスティック・ミカ・バンドのセカンド・アルバムで1974年リリースの『黒船』は、当時、アメリカ、イギリスでも発売され
ている。
岩田由記夫
1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。最新刊は『岩田由記夫のRock & Pop オーディオ入門 音楽とオーディオの新発見(ONTOMO MOOK)』(音楽之友社・1980円)。