刑務所長の日記にその答えが!?
さまざまな研究家が、後世になってこの不思議な注文の謎を解こうと努力した。
たいていの人が、
「彼はレア(生)の仔牛肉が好きだったのさ」
で片づけてきた。
ところが1909年にサレーという研究家が、当時の刑務所長の子孫宅から日記を見つけてきて、この謎の注文に終止符を打った。
刑務所長はこう書き残していた。
『侯爵は、“こいつは若い娘の肉と同じ味がするのさ”といって陰気に笑うのだった』
(本文は、昭和58年4月12日刊『美食・大食家びっくり事典』からの抜粋です)
夏坂健
1936(昭和9)年、横浜市生まれ。2000(平成12)年1月19日逝去。共同通信記者、月刊ペン編集長を経て、作家活動に入る。食、ゴルフのエッセイ、ノンフィクション、翻訳に多くの名著を残した。その百科事典的ウンチクの広さと深さは通信社の特派員時代に培われたもの。著書に、『ゴルファーを笑え!』『地球ゴルフ倶楽部』『ゴルフを以って人を観ん』『ゴルフの神様』『ゴルフの処方箋』『美食・大食家びっくり事典』など多数。