いいことがあった日のごちそう。幼かったあの頃、それは洋食ではなく喫茶店の洋菓子だった。プリンにアイスにホットケーキ……。あの豪華さ、あの甘さに今もときめかずにはいられません。今回は、テンションあがるホットケーキを集めてみました。
昭和初期に考案された『万惣(まんそう)』の味を継承『CIVITAS(シビタス)』@蒲田
皇室御用達の果物店『万惣』の支店として昭和43年に開店。6階から移転し、その後改装もしたが、店内の雰囲気は変えていないという。看板メニューのホットケーキも、『万惣フルーツパーラー』開業時のシェフ・加茂謙さんが作ったレシピを忠実に守っている。
スタンダードホットケーキ 700円、市美多寿ブレンド 570円
約30年ホットケーキを焼き続けている店長の黒川義正さんは、「加茂さんの弟が来たときに、味が変わってないねって言ってもらえて自信になったなぁ」と話す。口に運ぶと、きめ細かくしっとりとした生地で、卵の風味や甘みが実に濃い。バターが染み込むとさらにコクが増し、「カステラみたいでしょ」という黒川さんの言葉に強く同感。そのまま全部食べそうになるが、自家製シロップのまろやかな甘みが加わった深い味わいにもうっとりする。
[住所]東京都大田区西蒲田7-69-1 東急プラザ蒲田4階
[電話]03-3733-5775
[営業時間]10時~19時半 ※ホットケーキは売り切れ次第終了
[休日]2・8月の第3木
[交通]JR京浜東北線ほか蒲田駅南口から徒歩1分
父親から受け継いだ味をおいしく進化中『ブラウン喫茶 デルコッファー』@本所吾妻橋
「今の茶色い壁はもともと白かったんです。長い時を経た空間を守る決意を込めてブラウン喫茶と名付けました」とは、店主の小芝麻紀子さん。父親が昭和63年に開業した店を15年ほど前から手伝いはじめ、2年前に代替わりした。「父が築き上げた基本軸は変えていませんが、少しずつ自分らしさも出していってます」。そのひとつが、4~5回レシピに手を加えているホットケーキだ。
自家製銅板焼きホットケーキ 800円
改めて選び直したという小麦粉やバターの香りが際立ち、甘さはかなり抑えられている。生地がふわっふわなのは、銅板で片面を焼いてからひっくり返したあとに蓋をするという仕上げがポイントだとか。「素朴さを残しながら、さりげないもっちりとした食感にしたいんですよねぇ」と、より進化すべく小芝さんの試行錯誤は継続中だ。
[住所]東京都墨田区吾妻橋3-1-10
[電話]03-3829-2070
[営業時間]8時~17時 ※土・日・祝は9時~
[休日]水
[交通]都営浅草線本所吾妻橋駅A2出口から徒歩1分
撮影/小澤晶子(CIVITAS)、沼沢善将(デルコッファー)、取材/井島加恵
※2023年10月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。