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待ってたよ~待ってました!クツクツとダシの海で色んなおでん種が泳ぐさまは、まさに冬の風物詩。いわゆる専門店じゃなくても美味なるおでんはあるんです!今回は、この手もあったか!な個性派店をご紹介します。

『WHY BEER?』 @代々木上原

味噌のコクと麦芽の甘みの掛け算が食欲を直撃!

どうして、ビールなの?まるで店名が、訪れた客の気持ちを言い当てているかのようだ。チェコのビール「ピルスナー・ウルケル」を提供するビアパブだけに、現地の料理が品書きを彩るのは当然。

だがもうひとつの名物、ウルケルに抜群に合うと店主・志田さんが胸を張るのが、漆黒の名古屋おでんとは!

ピルスナーウルケルハラディンカ(レギュラー) 750円、名古屋おでん8種盛り合わせ 1980円

『WHY BEER?』ピルスナーウルケルハラディンカ(レギュラー) 750円、名古屋おでん8種盛り合わせ 1980円 ハラディンカは、伝統的なチェコの注ぎ方。おでんの具は厚揚げやはんぺん、牛すじなど

「日本で2社しか作っていない、忠実な伝統製法による八丁味噌をおでんダシに使っています。そのコク深い風味が、ウルケルのカラメルのような甘みと絶妙にマッチするんです」。確かに、これは合わせ出したら止まらない。ウルケルのバランスのいい飲み口も手伝って、ひと皿をペロリと平らげてしまいそうだ。

そのウルケルも、泡を楽しむ「ミルコ」など注ぎ方で飲み口が変わる。おでんとチェコ料理を行きつ戻りつ、ピルスナービールの元祖といわれる味わいを心ゆくまで楽しみたい。

『WHY BEER?』

[住所]東京都渋谷区上原1-35-5 第2上原堂ビル1階
[電話]03-6407-9318
[営業時間]17時〜23時(22時半LO)※土は16時〜、日16時〜22時(21時半LO)※チェコ料理のLOは閉店時刻の1時間前
[休日]月
[交通]小田急線ほか代々木上原駅南口2から徒歩2分

『えんらい』 @渋谷

ゆるゆる愉しむおでん×燗酒は冬の最強ペアリング

寒い冬に燗酒とおでん。多くの人が心躍るシチュエーションだ。そんな気分になったら、ぜひ大衆酒場『えんらい』へ。晩秋から春先まで季節限定で登場するおでんがおいしいのに加えて、燗番で店主の坂嵜透さんが、おでんや肴と楽しめる日本酒を選んでくれるからだ。

玉櫻 山廃純米五百万石(八尺徳利) 800円、おでん5種 1250円

『えんらい』(奥)玉櫻 山廃純米五百万石(八尺徳利) 800円、(手前)おでん5種 1250円 「ダシが染みやすいから」との理由でロールキャベツではなく、ロール白菜をオンメニュー

カウンターに佇んでお燗の番をする坂嵜さん。「うちのおでんはダシがよく染みているので、その旨みを堪能してもらえるように酸がしっかりした銘柄を選んでみました」。「玉櫻山廃純米五百万石」の食欲をそそる酸は、燗できれいに立ち上がる。すかさず杯はすぐに空き、思わずおでんをつつく速度も速くなってしまう。

料理は他に、刺身や焼物に揚げ物など。これらもやはり、燗酒とともにゆるっと楽しみたい。たとえば人気のメンチカツには、純米にごりを。独特の粘度がまるでソースのようで、これがまたピタッと合うのだ。

『えんらい』

[住所]東京都渋谷区渋谷2-8-7 青山宮野ビル1階
[電話]03-6805-0343
[営業時間]18時〜23時(フード22時LO、ドリンク22時半LO)、土14時〜21時(フード20時LO、ドリンク20時半LO)
[休日]日、祝日の月
[交通]地下鉄半蔵門線ほか渋谷駅B5出口から徒歩8分

『しみる 丸の内』 @東京駅

昨今注目の鶏ダシで味わう しみしみの串や種

おでんのダシといえば、昆布や鰹が定番。だが昨今、この常識に捕らわれずに人気を博す店が増加中だ。

ここ『しみる 丸の内』は鶏ダシおでんが評判で連日満席の盛況ぶり。親・若鶏のガラや手羽元、野菜を10時間以上かけて煮込み、あごダシ&博多味噌を加えて完成する鶏ダシは旨みの塊で、これがしみた大根だけでもお酒が進む滋味深さだ。

しみる鶏だし おでん(極み 濃厚玉子 286円、こんにゃく 286円、大根、厚揚げ 各319円、秋茄子 429円)

『しみる 丸の内』しみる鶏だし おでん(奥)極み 濃厚玉子 286円、(手前の皿、左から)こんにゃく 286円、大根、厚揚げ 各319円、秋茄子 429円) 鶏ダシはそれだけで飲めるほどに旨みの凝縮感あり

それと双璧をなす人気“おでん”が、「鶏串煮込み」。焼鳥のようなルックスで、一見おでんらしくはない。しかしこの串、鶏ダシで煮込まれたもので、れっきとしたおでん。せせりやささみなど、部位ごとに火入れ温度や時間、味付けを変えて提供するため、実に手の込んだ一品なのだ

そしてモモやぼんじりは、味噌を付けてサーブ。おでんのルーツは田楽ゆえに、理に適った味といえよう。この味噌が酒を呼ぶこと。名物のフルーツサワーで喉を潤おしたい。

『しみる 丸の内』

[住所]東京都千代田区丸の内1-7-3
[電話]03-6256-0888
[営業時間]16時〜23時(フード22時LO、ドリンク22時半LO)
[休日]日、年末年始
[交通]JR中央線ほか東京駅丸の内北口から徒歩3分

『キクヤ』 @三軒茶屋

創意工夫あふれるスパイス酒場で体感する新発見の味わい

スパイスおでんと聞いて、「やっぱり辛いの?」という感想は至極当然。筆者もここ『キクヤ』で口にするまでそう考えていた。しかしその先入観ははるか彼方へ。

まず鰹ダシの濃厚な旨みが口に広がり、次に訪れるスパイスの華やかな香りで、対照的なダシの風味を味覚と嗅覚に見事に印象づける。これはまさに、香りはスパイシーなれど日本のおでん。辛みは穏やかで、スパイスの食欲増進効果が活かされている。

スパイスおでん盛 1320円

『キクヤ』スパイスおでん盛 1320円 大根、厚揚げ、玉子などが入る

「このおでん、実はダブルスープ仕立て。鰹ダシと豆カレーを別々に作って合わせ、さっと種を煮込んだら完成です」。素材の味わいを活かすべく結構な手間をかけるが、それを何でもないようにサラッと言ってのける店主の三木基弘さん。

その繊細な仕事ぶりは他の皿にも表れ、なかでも前菜盛り合わせが実に美しい。忍ばされたスパイスの芳香に、ビールやワインが進むこと間違いなしだ。

『キクヤ』

[住所]東京都世田谷区太子堂5-1-12 1階
[電話]03-6453-4381
[営業時間]18時〜23時 ※金は〜翌2時、土15時〜翌2時、日15時〜22時
[休日]月
[交通]東急田園都市線三軒茶屋駅三茶パティオ口から徒歩6分

撮影/西崎進也(WHY BEER?、しみる)、鵜澤昭彦(えんらい)、取材/岡野孝次

2024年1月号

※2024年1月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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おとなの週末Web編集部
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