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職人として、チームとして、コンクールに挑み続ける意味

「マンダリンナポレオン国際大会」など、数々の菓子コンクールでも入賞を果たしている佐々木さん

物腰柔らかで気さくな人柄だが、話の端々に「職人のこだわり」が感じられる。

「僕が修業していた時は、パティシエがお菓子のカテゴリーの中でチョコレートや焼菓子、パン、その他のコンフィズリー(キャンディやボンボンなどの砂糖菓子の総称)などのすべてを作るという考えでした。そういう面で自分は、ショコラティエというよりもパティシエなのです」と話す。

『ヤスシ ササキ』では佐々木さんの持つノウハウを店のスタッフたちに伝え、さまざまなコンクールに臨んでいる。チームはベルギーの製菓コンクールで数々の優勝を果たし、ベルギー代表として世界的コンクール「クープ・デュ・モンド・ドゥ・ラ・パティスリー」や「ワールド・チョコレート・マスター」などに出場している。

佐々木さん個人も、『ヤスシ ササキ』としても、幾度も輝かしい実績を残し、チームとして評価され店の評価にもつながっている。なぜコンクールに挑戦し続けるのだろうか。

「コンクールは、職人としての腕が試されます。コンクールで賞を獲るということは、他者に認めてもらうということです。認められるためにはどうしなければいけないか、その上で自分の個性をどんな風に出すかということをすべて考えて臨みます。

こうしたチャレンジを通じて、若手のスタッフが活躍できるようにしています。彼らにはお菓子を作る喜びに加え、職人としての喜びを理解してもらえるような職場でありたいと思っています」

では、“職人としての喜び”というのは、どういうものなのだろう。

自分が作りたいものに到達すること、極めることです。

本来的には極めることと他者に認められることは別ものですが、職人のコンクールで勝って認めてもらえることにより、最終的に高みに到達することにつながっていると思います」

佐々木さんの元で研鑽を積み、日本に帰国し独立したパティシエもいる。例えば『ラ・パティスリー・ベルジュ』(千葉県鴨川市)の鈴木貴信さんや『シャンドワゾー』(埼玉県川口市)の村山太一さん。いずれも地元に愛されている人気店だ。

日本で1ヶ所だけ!今『ヤスシ ササキ』のチョコが買える場所

その『ヤスシ ササキ』のチョコレートは、日本橋三越本店で2024年1月31日(水)から2月14日(水)まで開催される「スイーツコレクション2024」で購入することができる

日本橋三越本店限定で販売される『ヤスシ ササキ』のチョコレートたちを説明する佐々木さん
日本橋三越本店限定で販売される『ヤスシ ササキ』のチョコレートたちを説明する佐々木さん

「ベルギーチョコレートアワード」で優勝を勝ち取った「デグベール デュ カカオ」(4粒・4320円※店頭・ECサイト共に完売)は、「香りの魔術師」と称される佐々木さん渾身の作品。セットになっているボンボンとミニカボスに、およそ25種類の素材が使われる、パティシエの叡智が詰まった逸品だ。

「『デグベール デュ カカオ』は、コンクール用に開発されたものなので、素材それぞれの味わいが強調されています。複雑な素材を合わせていかに一体化させるかという数学的な考え方と、これまでのさまざまな経験と感性を駆使しました。それぞれを食べるのではなく、同時に口の中に入れることでお楽しみいただけます

トップに感じるのはペルー産カカオ豆を使用したユズチョコレートのガナッシュ。ミカンのコンフィチュールやキャラメルなどの風味が広がったあとに山椒がほんのり香り、さらに岩塩が味を引き締めている。下に入ったカカオヌガティーヌチップスのサクサクとした食感も楽しい。

添えられたミニカボスにはカカオパルプが入り、程よい酸味がボンボンとの味の相乗効果をもたらしている。

口中で次々に訪れる味わいと深い香りが印象的で、長い余韻が楽しめる。

その他、ブリュッセル本店で提供しているボンボンショコラ4粒4種各2430円と8粒2種各4860円の詰め合わせ計7種を「スイーツコレクション2024」では限定ボックスとして展開する。

「ブリュッセルの方々に喜んでいただいているチョコレートです。今回はそのふたつのコンセプトが合わさった商品となっています」

ベルギーの店舗と同じ味が楽しめる
ベルギーの店舗と同じ味が楽しめる

素材の持ち味を存分に活かした佐々木さんのチョコレートたち。この機会にぜひ堪能いただきたい。

■「日本橋三越本店 スイーツコレクション2024」
創業350周年を迎えた三越の恒例イベント。2024年のテーマは「JOY」で東京初出店など57ブランドが揃う。鎌倉の人気店『鎌倉紅谷』のイートインなどが楽しめる「あんこ博覧会(R)」も同時開催

[会場]日本橋三越本店 本館7階 催物会場
[会期]2024年1月31日(水)〜2月14日(水)
[時間]10時〜19時 ※最終日は〜18時

取材・撮影/市村幸妙

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市村 幸妙
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