一番売れている軽のホンダ「N-BOX」の価格が15年前のミニバンの価格とほぼ同じ
以上のようにクルマが値上げされる背景には、安全装備や運転支援機能の進化、快適装備や収納設備などの充実、ボディ剛性や衝突安全性能の向上、原材料費や輸送費用の高騰など、いろいろな理由が絡む。
それなのに平均所得は、1990年代の後半から伸び悩む。所得は増えず、クルマの価格が1.2~1.4倍に高まれば、ユーザーとしては小さなクルマに乗り替えるしかない。
本稿の冒頭では、2009年にはホンダ4代目ステップワゴンG・Lパッケージの価格が225万7000円だったと述べた。それが今では、軽自動車のホンダN-BOXカスタムターボコーデイネートスタイルが222万9700円だ。
つまり15年前のステップワゴンの価格は、今ではN-BOXの上級グレードと同程度だ。これではダウンサイジングが急速に進み、N-BOXが国内の最多販売車種になるのも当然だろう。
文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。
写真/ホンダ、トヨタ、Adobe Stock(アイキャッチ画像:umaruchan4678@Adobe Stock)