愛子さまは昭和天皇の愛された五葉ツツジをお印に
やがて年月がたち、昭和天皇が崩御されて平成の御代となった。皇太子浩宮さまと雅子さまの間に内親王愛子さまがお生まれになると、お印はゴヨウツツジと決まった。ゴヨウツツジは、那須高原に咲く白く美しいツツジである。枝先にかわいらしい赤ちゃんの手のような、小さな5枚の葉が輪になってつくことから、ゴヨウ(五葉)ツツジと呼ばれるという。
それは昭和天皇が愛された、可憐な那須の花であった。昭和天皇と浩宮さまがご一緒に那須を散策された折に、気品あふれるこの花の名を教えられていたのかもしれない。(連載「天皇家の食卓」第20回)
参考文献/『昭和天皇のお食事』(渡辺誠著、文春文庫)、『昭和天皇のお食事』(板垣信久・小西千鶴共著、旭屋出版)、『美智子皇后と雅子妃 平民妃十年の苦闘』(渡辺みどり著、講談社)、宮内庁ホームページ
文・写真/高木香織
たかぎ・かおり。出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。