SNSで最新情報をチェック

べたつかない甘さと、野趣を残したレモングラスのハーモニー

開封。カステラの黄色にレモングラスの緑が混じった、うぐいす色をしている。
レモングラスは料理やハーブティーにも使われる。

内袋を開封すると、甘い香りが立ち昇る。5切れのカステラは、ティータイムのお供にちょうどいいサイズだ。うぐいす色の地肌が、レモングラスが含まれていることを明示している。予想されたレモンの香りは、さほど強くない。

ひときれ皿に取り、フォークで切ると、上等なカステラ特有のしっかりした手応えが指先に感じられる。口にすると、爽やかな含み香と甘さがまず来てから、次に野趣のある苦みが来る。華やかさよりも、力強さが前に出ているように感じられる味だ。

緑茶でも紅茶でも構わないが、濃いめのお茶がよく合いそうな印象だ。力負けしない、ボディの強いものが似つかわしい。

レモングラスの苦みは強くないが、芯がしっかりしている。これに砂糖の甘さがベタついて混ざると後味に悪影響がありそうなので、そこを解決するために和三盆を使ったのではないか。

爽やかな香りと砂糖の甘さ、そこに野趣のある苦さが加わって、深みのある印象が舌の上に残る。

カステラのバリエーションには抹茶カステラというものがある。使われる抹茶の種類によって印象は変わるが、このレモングラスカステラを食べてから振り返ると、基本的にはどれも洗練性が前に出ていたように感じられる。

香りこそ爽やかだが、このレモングラスカステラは芯が強い。グリーンティ五島のレモングラス自体が「活きが良い」ものなのだろう。抑えきれない野性的な風味が底流にある。その強さに釣り合うように甘味も強めに調整され、後味をすっきりさせるために和三盆を加えた、という構図にみえる。

単品でも美味いが、濃くて熱いお茶と組み合わせると完成度が格段に上がる。疲れを抜いて元気を授かりたいとき、体に活を入れたいときに、レモングラスカステラとお茶のセットで召し上がることをお薦めしたい。

文・写真/深澤紳一(ふかさわ しんいち):PCゲーム雑誌から文芸誌、サブカルチャー誌まで幅広い寄稿歴をもつライター。レーシングスクールインストラクターなども務めつつ、飼犬のために日々働く愛犬家。

icon-gallery
icon-prev 1 2
関連記事
あなたにおすすめ

この記事のライター

深澤 紳一
深澤 紳一

深澤 紳一

最新刊

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。11月15日発売の12月号は「町中華」を大特集…