ただ甘いだけじゃない。素材や形、色合いで季節感までも楽しませてくれるのが、日本の甘味なんです。今回は餅と餡が織りなす、素朴な甘さがたまらない「大福」。塩や豆の“王道”と、未来を感じる“異色”の味からご紹介します。
万人に愛されてきた豆大福の秘訣は餅と餡と豆の調和『つる瀬』@湯島
「普通においしいことが一番ですね」とは、創業から約100年の歴史を守る代表取締役の田邊卓さん。
看板商品である豆大福のつぶ餡は、ほんの少しの塩で引き立てる甘さがとにかくやさしい。夏は硬め、冬は柔らかめに炊き上げるなど、気候や天気に合わせた火加減が重要だとか。
豆大福1個220円
餅の中にゴロゴロ入った北海道富良野産の赤えんどう豆は大粒でほくほく。前日と当日の二度蒸しで皮まで柔らかくするという。豆ではなく餅に塩を加えているからか、全体的に突出し過ぎていない塩味も絶妙だ。しみじみおいしく、毎日食べられる。これこそが『つる瀬』の目指す“普通”なのだ。
老舗の和菓子店には珍しく喫茶室が併設され、販売している和菓子ひとつから赤飯や「むすび梅」などの食事まで、店内でゆっくり楽しめるのもうれしい。
[店名]『つる瀬』
[住所]東京都文京区湯島3-35-8
[電話]03-3833-8516
[営業時間]9時半~19時※日・祝は~18時(喫茶室は11時~17時半LO)
[休日]月(祝の場合は翌休)
[交通]地下鉄千代田線湯島駅4番出口から徒歩1分