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ただ甘いだけじゃない。素材や形、色合いで季節感までも楽しませてくれるのが、日本の甘味なんです。今回は老舗の逸品の中から、春の訪れを伝えてくれる桜もちなど手軽に味わえる和の甘味を集めました。100年以上経っても愛され続ける逸品は、現代人の舌をも魅了し続ける。春の陽気に包まれていただく甘味の数々。実に優雅なひと時です。

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【創業安政元(1854)年】フタを開けるとほっこり…長年寄り添い、支え合う甘くて素朴な下町の味『浅草梅園本店』@浅草

鮮やかな黄の餅にぽってり添えたこし餡の純朴さ。漆黒のお椀の中、長年連れ添う夫婦のような趣に心が和む。令和に生きる我々と同じように、江戸庶民もこれを愛でていたのかな。何だかちょっとうれしくなる。

「あわぜんざい」。浅草寺の別院だった「梅園院」の庭に構えた茶屋が原点、1854年創業「梅園」の看板甘味だ。餅米が高価で貴重だった時代、初代が庶民にも楽しんでほしいと田畑の畔道に生えていた粟を用いて提供したのが始まり。

あわぜんざい891円

『浅草梅園本店』あわぜんざい 891円 つぶ感が残るよう半搗きした「餅きび」となめらかなこし餡の対比が楽しい。箸休めはシソの実の塩漬け。お正月は浅草寺へ初詣後に店に寄って味わうのが恒例の常連も多い

その旨さはたちまち評判になった。現在は「餅きび」を使っているが、作り方は当初のまま。半搗づきし、練り上げ、蒸篭で蒸した餅は舌を撫でる絶妙なつぶつぶ感。

一方、熱々のこし餡はしっとり色気さえ感じるなめらかさ。提供直前に銅鍋で温め、水分を適度に飛ばすことで餅と合わせた時の舌ざわりの対比や温度が最高の相性になるとか。まさに夫婦のように171年寄り添う、甘くてあったかい味だ。

『浅草梅園本店』営業主任 関根良喜さん

営業主任:関根良喜さん「長年通ってくださるお客様に支えられています」

『浅草梅園本店』

[住所]東京都台東区浅草1-31-12
[電話]03-3841-7580
[営業時間]10時~17時(16時半LO)※土・日・祝は~18時(17時半LO)
[休日]月2回水、不定休
[交通]地下鉄銀座線ほか浅草駅1番出口などから徒歩2分

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【創業享保2(1717)年】葛飾北斎が、正岡子規が、こよなく愛した味を生誕の店で頬張る『長命寺桜もち』@向島
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