昨今続々増えるお茶専門店のなかでも、ウデに覚えありな一杯を愉しませてくれるお店を厳選ご紹介。新発見も多々あり、開眼!
画像ギャラリー昨今続々増えるお茶専門店のなかでも、ウデに覚えありな一杯を愉しませてくれるお店を厳選ご紹介。新発見も多々あり、開眼!
下北沢の路地裏スタンド茶屋『日本茶専門スタンド、TEN』@下北沢
知らなかった!下北沢の路地裏にこんな渋好みの日本茶スタンドがあったなんて。
店主の青木さんは、日本茶にこだわりながらも捉われ過ぎず、季節ごとにフレッシュな旬の食材を日本茶に合わせたオリジナルブレンドティーを提案。これは前職の茶懐石料理を愉しませる『八雲茶寮』で、コースに合わせたティーペアリングに携わったことがきっかけだったとか。
オリジナルブレンドティー 大葉と酢橘 600円
大葉は香りが強くてお茶と合うのかと懸念していたけれど、丁寧に抽出した釜炒り茶は旨みたっぷりで、大葉と酢橘をマイルドに包み込み、まるでキンキンに冷やした澄まし汁を飲んでいるような満足感。まさに夏バテ回復ドリンクだよ、これは。「抹茶とりんごジュース」は、濃厚なりんごの甘みと抹茶の苦みのマリアージュが素晴らしい、これぞ大人のためのジュースだ。
夜は淹れたてのお茶で焼酎などを割った「茶割り」も提供するので、こちらも要チェック。
[住所]東京都世田谷区北沢2-19-2
[電話]03-6453-2168
[営業時間]13時~18時(TEASTAND、和菓子と茶葉販売)、20時~翌1時(TACHINOMI、茶割と和菓子)
[休日]水、日の夜
[交通]小田急線・京王井の頭線下北沢駅中央改札から徒歩3分
旨みがスゴイ!驚きに満ちた感動の一杯『Saten Japanese tea』@西荻窪
こちらは、バリスタならぬ茶リスタ・小山和裕さんの日本茶専門カフェ。日本茶の飲み方を知っている人もそうでない人も、こちらの「煎茶トニック」を飲んでみてほしい。
さわやかな香りと旨み、甘み、渋みがある煎茶は、本来なら一煎、二煎と変わっていく味わいを楽しみながら飲むもの。それを小山さんは一杯にギュッと濃縮するような独特な方法で淹れるのだ。
煎茶トニック 750円
使うトニックウォーターは、天然のキナを使った爽快感とほのかな苦みのあるフィーバ―ツリー。飲むときは美しい二層を混ぜる前に煎茶の層、トニックの層を別々に飲んでみて。旨みが幾層にも重なった濃厚な煎茶の味とトニックの相性に驚くはず。
そんなサプライズが詰まった1杯なので、飲み終わる頃には自分でも独特な抽出法をちょっと真似てみたくなるかも。だから、座るならお茶を抽出する様がよく見えるカウンター席がおすすめだ。
忘れちゃいけないのは、看板メニュー「抹茶ラテ」。甘みを一切加えていない大人好みの味なのもうれしい。ほろ苦いほうじ茶クッキーを散らした「ほうじ茶レアチーズ」との相性も抜群だ!
[住所]東京都杉並区松庵3-25-9
[電話]03-6754-8866
[営業時間]10時~19時
[休日]無休
[交通]JR中央線・総武線西荻窪駅南口から徒歩5分
お茶をはじめ日本文化を体感する至福『松葉屋茶寮』@表参道
盆栽が出迎える、ほの暗い店内。場所は青山の骨董通り沿い。えっ、敷居が高そう?でも、ひとたび足を踏み入れると、静かな癒しと心地いい時が待っているのでご安心を。
「日本文化の拠点に」と、昨年幕を開けた同店。盆栽アーティスト集団による週替わりの盆栽や美術工芸品に囲まれ、陽光の移ろいを感じながら厳選されたお茶がいただける。お茶は常時8~10種。すべて国産の無農薬・有機栽培だ。
氷出し玉露 2800円
夏のおすすめは滋賀県・政所(まんどころ)の希少な「氷出し玉露」。玉露の茶葉の上に氷をのせ、その溶けていく様子を楽しみつつ……気長に25分待つ。ゆっくりじっくり、旨みだけを抽出するためだ。
こうしていただくお猪口1杯分の玉露は渋みがなく、なんとまろやかで甘いことよ!まるで青海苔のような香りと旨みに驚き、次の瞬間、陶然となる。
茶葉はもとより、現代作家の茶器、店の上階で作る菓子に使う季節の果物ひとつをとっても、徹底するのは、生産者の顔が見えること。2種のお茶とそのペアリングのお菓子2種を選べる「ニ茶二菓」(4000円)などで、店の真髄を味わってみてもいい。
[住所]東京都港区南青山5-4-27 Barbizon104 1階
[電話]070-4441-9857
[営業時間]10時~20時
[休日]不定休
[交通]地下鉄銀座線ほか表参道駅B3出口から徒歩8分
ハーブや果実も取り入れた季節茶を味わう『逗子茶寮 凛堂』@逗子
涼やかな白い暖簾をくぐると店内は香ばしいお茶の香りに包まれていた。昼は茶房、夜はバーとして営業するこの店の店主・山本睦希さんは、“茶淹れ”を競う『淹茶(えんちゃ)選手権2023』で最優秀賞に選ばれた。バーテンダーやソムリエの経験もあり、お茶のポテンシャルを引き出すアプローチにもそのバックボーンを感じさせる。
生産者から直接買い付けるという茶葉は、扱う前に必ず産地を訪ね、その土地や作り手の人柄を知ることを欠かさない。それはお茶のテロワールをまるごと表現したいという気持ちからだ。
ブレンド 菓子付き 1870円
ここでは二十四節気になぞらえて変わる季節のお茶をぜひ味わいたい。この日の「ブレンド」は微発酵のみなみさやかにカモミールと月見草を合わせていた。軽やかだが複雑な味わいはまるで白ワインのようだ。
驚いたのはトマトを使う「旬果茶」。日本茶用ドリッパーで落としたお茶にトマトの風味をまとわせ、何ともいえない華やかな液体が生まれた。7月には白桃と玉露の組み合わせになるというからそちらも期待が膨らむ。ここならではのお茶を味わえば、新しい日本茶の世界が開けそうだ。
[住所]神奈川県逗子市逗子5-1-12 カサハラビル逗子2階
[電話]046-870-3730
[営業時間]茶寮:12時~16時半(16時LO)、BAR:17時半~24時(23時半LO)
[休日]不定休
[交通]京浜急行逗子・葉山駅北口から徒歩1分、JR横須賀線逗子駅東口から徒歩2分
撮影/西崎進也、取材/白鳥紀久子
※2024年8月号発売時点の情報です。
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