東京のうまい「最強のマグロ」ベスト3軒…寿司ネタの王道《天然もの》《希少部位》を覆面調査隊が実食レポート

「マグロづくし」の名店3軒 神楽坂「すし茶屋 吟遊」 見た目も味も食感も、部位によってこれほど違うものなのか。本マグロの底知れぬ魅力をまざまざと見せつけられる。まず驚くのはタタキ風にした頬の部位。まるで牛ヒレ肉のようにし…

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寿司ネタの花形と言えばやっぱりマグロ。

人気の本マグロを筆頭に、インドマグロなど種類も味わいもさまざまだ。ここではファンを唸らせるマグロ自慢の三ツ星店をご紹介。その魅力に、思う存分溺れてください。

マグロの醍醐味「脂と旨み」

その堂々たる姿は寿司ネタの、いや魚の王者にふさわしい、マグロである。

深紅色の赤身は舌に吸い付くようにしっかりと酸味と香りの余韻を残し、中トロは極上この上ないバランスで脂身と赤身が優しく複雑に混ざり合う。そして上質な脂を秘めた大トロをそっと手でつまんで味わえば、泉のごとくあふれる旨みに身も心も昇天……。

魅力はそれだけではない。赤身のコクを引き出したヅケ、皮や中骨の間のすき身など、細かい部位によって味わいの違いを堪能できるのがマグロの醍醐味だ。

マグロの断面図

ゆえにその質で寿司屋の格が分かるとも言われ、職人は仕入れと仕込みに心を砕く。最たるものが海のダイヤと称される本マグロ(クロマグロ)。日本近海の天然ものは世界のマグロ漁獲量の1%にも満たない希少な品だ。

「天然ものは脂がのっているのに味がしつこくないんです。特に8月前後から市場に出始め、11月~1月中旬頃が最もうまい。それは栄養たっぷりの肝を蓄えた津軽海峡のスルメイカを餌にして育つから。脂と旨みがグッと増すんです」

と話すのは奥沢に店を構えて50年になる名店ながら、2019年に閉店したまさに幻の寿司屋「入船寿司」店主の本多克己氏。いまや全国で定番の炙りは脂の旨みと香ばしさが渾然一体となる人気のネタ「炙り」もこの店が先駆けであったという。

「マグロづくし」の名店3軒

神楽坂「すし茶屋 吟遊」

神楽坂「すし茶屋 吟遊」

見た目も味も食感も、部位によってこれほど違うものなのか。本マグロの底知れぬ魅力をまざまざと見せつけられる。まず驚くのはタタキ風にした頬の部位。まるで牛ヒレ肉のようにしっとり柔らかく、旨みがじわりと押し寄せる。

さらに店で「頭部とろ」と呼ぶ脳天(ハチの身)もコクのある脂身だ。これら豊富な部位を全て天然本マグロで揃えるのは容易ではないそうだが、200kg前後の大型の物を常に仕入れているとか。そんな個性ある部位に合わせるのは芳醇な赤酢のシャリ。米は年により出来が違うため、握りに適する銘柄を日々変えるのもこだわりだ。酒とつまみも目移りするほど豊富に揃う。

錦糸町「魚寅鮨」

錦糸町「魚寅鮨」

三崎のマグロ問屋直営ならではの逸品が、天然物のインドマグロを使った握り「まぐろ三昧」。赤身、中トロ、大トロ、炙り、ネギトロと、まさに三昧。プロの目利きとあって味はお墨付きだ。

主に南半球に生息するインドマグロは本マグロに匹敵する魚体の大きさと質を誇る人気ネタで、トロは脂が甘く濃厚、赤身はクセがなく深い旨みがある。名店出身の浅井店長も「そのバランスの良さは最も寿司に合う」と自信たっぷり。安定した品質と安さの秘密は一船買いしているから。港に大型冷蔵庫を持ち、船から直接大量に仕入れて徹底管理しているのだそう。毎日2回に分けて店に届けられる朝獲れの地魚も鮮度抜群。

国分寺「治鮨」

国分寺「治鮨」

本マグロの人気部位オールスターが丼に勢ぞろいとは何たる贅沢か。いわゆる有名産地に固執せず、高級店に負けない品質を確実に仕入れるのが店主の金里さんの信条だ。生にこだわるのは「旨みと酸味の後味がいいし、何より味にお客様が喜んでくれるから」とシンプル極まりない理由があくまでも客目線でかっこいい。

つけ台の皿などは特注の作家物で、マグロの赤が映えるよう配慮しているのもさすが。実は中華とフレンチも経験があるが、対面で接する寿司職人が自分に合うと34年前に業界に飛び込んだ。店内の設えもさりげなく一流を用いており、豊富な経験から得たおもてなし精神が随所にあふれている。

***

近年は本マグロの危機的な激減で資源管理も進められているが、縄文時代から食してきたとされる日本人には欠かせない食材。大事に守りたいその果てなきすばらしさだ。

…つづく「東京のうまい 「最強の町寿司」 ベスト7軒…高コスパ、一貫 《110円》 からで一見さん、ソロ活でも大丈夫「覆面調査隊が実食」」では、手軽に食べられる寿司店を紹介しています。

『おとなの週末』2018年11月号より(本内容は発売当時のものです)

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