花小金井『たかのちゅめ』
カフェのような空間で供されるのは、醤油と塩を軸とする洗練された佇まいのラーメン。スープは、鶏ガラをベースに豚の背ガラと牛骨で厚みを持たせた動物系のダシと、昆布やカツオ節、アジ煮干し、ムール貝、椎茸などでとった魚介ダシを合わせたもの。ひと口で旨みの沼に引き込まれる。聞けば、寸胴鍋の半分は食材とのこと。旨みの階層が異なる素材を幾重にも重ね――それも惜しげもなく使うことで、深い味わいに仕立てるのだ。
「しょうゆらぁめん」は、艶やかな醤油の香りも相まって、思わずうっとり目を閉じてしまった。対する「しおらぁめん」は、食べ進める度に増していく貝の旨みに、目を見開かずにはいられない。どちらもレンゲが止まらない。実にけしからんラーメンである。
『おとなの週末』2024年2月号より(本内容は発売時のものです)
…つづく「東京、本当うまい「町中華のラーメン」ベスト6店…なんと一杯《600円》、スープ絶品《浅草・大森・人形町・大井町・千歳烏山・清澄白河》で覆面調査隊が発見」では、あまたひしめく町中華のなかから、おいしいラーメンの店を紹介します。