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『おとなの週末Web』は、手料理の魅力も紹介しています。中でもお酒好きなら、お供になる肴にもこだわりたいところ。自宅で作った様々な料理で「おとなの週末」を楽しんでいる年金生活の元男性編集者が、二十四節気に合わせ、自慢の酒肴を紹介します。「白露」編をお楽しみください。

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秋の入り口「白露」は青ゆずの季節

「時に残月、光冷ややかに、白露(しらつゆ)は地に滋(しげ)く、樹間を渡る冷風は既に暁の近きを告げていた……」(中島敦『山月記』より)

69歳のオイラ、めずらしく文学してみました。昭和初期に小説作品を著し教科書にもよく登場する中島敦の名作の一節です。はい、主人公が虎になってしまう有名な話ですね。中国は清の時代に題材を得たものですが、ここに登場する“白露”とは、まさに二十四節気の一つ「白露」(はくろ。9月7日から9月21日頃までの2週間)の頃とされています。

残暑もまだまだ厳しいのですが、そこはもう秋。月が残る明け方には、冷たい空気にさらされた白露が大地に恵みを与える――というふうに解釈しています。そうなんです。特に山間部では日中と夜から明け方の気温差があり、こうした白露が山の恵みを育んでいるのです。

香り高い柑橘の代表であるゆずも、この白露の頃に青みが深まり、「青ゆず」として出荷されます。オイラはここ数年、この青ゆずと青唐辛子で手作りする「ゆず胡椒(こしょう)」にはまっております。

手作りゆず胡椒(右)は市販の瓶詰めゆず胡椒(左)よりも色が鮮やか

ゆずは熟すると黄色く実る冬の味覚ですが、ゆず胡椒は「熟す前の青ゆずの皮」と、同様に「赤く熟する前の青唐辛子」で作るのです。つまりは「ゆず+唐辛子」なのですが、九州などでは唐辛子のことを「胡椒」と呼ぶこともあるため、ゆず胡椒として親しまれているようです。

店頭に青ゆずが並び始める頃は、青唐辛子も最盛期

温室育ちの「温室青ゆず」は初夏から出回りますが、露地栽培のとしての最盛期は、夏の終わりから秋の白露の頃のほんのわずかな時期だけ。ともに未熟な状態の実の鮮烈な香りと辛みを利用した、読んで字のごとくの「香辛料」なのです。オイラはこの辛みが大好きで日常使いしております。温泉卵のアクセントにもなりますし、たとえばサラダにだってドレッシングの代わりに、ゆず胡椒なのです。

ゆず胡椒はサラダのドレッシング代わりにも使える
温泉卵には彩りと香りが味のアクセントになる

「ゆず胡椒? それ、買うものでしょう」
というご印象の方もいらっしゃると思います。はい、瓶詰めになっておりますね。特に九州の名産品として有名で、かの地では「ゆずごしょう」ともいわれる香辛料ですが、これが案外簡単に手作りできるのです。塩分だって、市販のものよりもおさえられます。

市販の瓶詰めゆず胡椒は塩分20%のものが多い
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青ゆずの皮は「おろし金」ですりおろすし、香りを立たせる
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沢田浩
沢田浩

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