東京の中心地にありながら江戸時代から続く歴史と、豊かな自然の残る場所がある。日本人の心のよりどころとも言える、皇居だ。皇居内には気軽に入れるエリアもあり、遺物に触れ、動植物を愛でながらの散策にぴったり。その中でも東御苑は、旧江戸城本丸・二の丸・三の丸の史跡の一部を含み、皇居の附属庭園として整備された地区である。登城する殿様や大名気分で、天下統一を果たしたありし日の巨大城郭の姿を思い浮かべながら歩きたくなるスポットを紹介する。
皇居東御苑の本丸を歩く
かつて多くの御殿が立ち並んだ本丸跡地。今は広々とした芝生が広がり、江戸城の隆盛を忍ばせる。
ビル群に囲まれながらも、都心にすっぽりと空いた贅沢な緑地と空、遺構の魅力を味わいたい。
建造物がないからこそ、歴史に思いを馳せる
将軍が生活し、日々の政治を行った江戸幕府の中枢となる本丸御殿。江戸城は南北に長く、南から「表」、「中奥」、「大奥」という区域に分けられていた。
今では北の方角に遠く天守台を残すのみで、芝生が広がる跡地となっている。しかし城の建造物がほぼ残っていないからこそ、在りし日の大城郭を想像する楽しみがあるのだ。
本丸跡地からその背が見える「富士見櫓」は、万治2年(1659)から現存する三重櫓。
天守閣が度重なる大火で焼失してからは、天守の代用的な存在となり関東大震災にも耐え抜いた。
松の大廊下跡から天守閣跡へ向かうときには、左側の竹林にも注目を。日本、中国の竹や笹が13種類も植えられ、一度に観察できる。
かつて限られた身分の者しか入城できなかった本丸跡地には、ビル風とは全く違う爽やかな風が吹き込み、リフレッシュできること間違いなしだ。