いま熱海温泉(静岡県)が凄いことになっています。インバウンド(訪日外国人客)はもちろん、日本人らしき若者のなんと多いこと。かつては昭和のさびれた温泉街のイメージが強かった熱海ですが、10年ほど前から地元の若手が中心になり「リピーターを増やすためのコンテンツづくり」に注力したのだそうです。筆者はここ数年何度か訪れていますが、駅近くの商店街には人が溢れ、多くの飲食店に長蛇の列ができています。前回は「東京の西の奥座敷」石和(いさわ)温泉(山梨県)を取り上げました。今回は「東京の南の奥座敷」、いま一番熱い熱海温泉の名店を3軒お届けしたいと思います。
突き出しが客で違う?日本最強居酒屋
最初にご紹介するのが、筆者の周りでは日本最強居酒屋の呼び声も高い『ちゅうしんの蔵』です。熱海駅から西に15分ほど歩いた繁華街のはずれにあります。
店構えは地味ではありますが、味わいのある佇まいが最高で、のれんをくぐると「コの字」カウンターが出迎えてくれます。筆者の経験上「コの字」カウンターがある飲食店に悪いお店はありません。席数は16席しかないのでいつも満席。予約をとって訪問されることをお勧めします。
席に着いたらまずは生ビールを頼みましょう。きめ細かい泡とほどよく冷えたビールで旅行気分が盛り上がります。ほどなく突き出しが到着。先日いただいたのは「生海苔」でした。舌でとろけるような海苔とビールの相性は良いに決まっていますね。ちなみに筆者の次に来店した若いカップルの突き出しは「マカロニサラダ」でした。どうも年齢や見た目の雰囲気で出すものを変えているようです。突き出しからして恐るべし。
ほか料理は「胡麻カンパチ」や「炙りサバ」など熱海らしい海の幸メニューから、「煮込み」や「出巻き玉子」など居酒屋の定番料理まで数多くラインアップされています。中でもまず召し上がって頂きたいのが「手羽先素揚げ」です。パリっとした触感と塩加減が最高で、何本でも食べられそうです。
次に頂いたのが「アジフライ」。最後に「五島列島の干しかまぼこ」に芋焼酎「五島灘」のペアリングを楽しみました。なんでもマスターの父親が五島列島(長崎県)の出身とか。当コラムでも2024年暮れにユーミンに関わる五島列島物語を取り上げた矢先で、なんとも感慨深い締め料理となったのでした。