途中下車して食べた「奥多摩やまめの塩焼き」
奥多摩駅の観光案内所で、このあたりのオススメ料理を聞いたところ、「多摩川の川魚」だと教えられた。特に「奥多摩やまめ」のお刺身が美味しいとの由。これを食べずして帰れまい。しかし、卸しているのは主に旅館が多く、奥多摩駅の2駅となりにある食事処であれば、”奥多摩やまめ”にありつけることがわかった。迷わず途中下車である。
鳩ノ巣駅の改札を抜け、徒歩1分ほどの国道沿いにある「鳩の巣釜めし」さんへ。店内は、ハイキング客でいっぱいだった。ほどなく席に着き、「奥多摩やまめのお刺身」と「きのこ釜めしのセット」を注文した。
「奥多摩やまめ」は、「刺身でも食べられる川魚」として奥多摩町で養殖している名産品なのだそうで、味わいは「サーモン」に近いと説明してくれた。ところが、お刺身は品薄で今日は入荷がないと伝えられた。聞いてみると「奥多摩やまめ」は、通常の“やまめ”が体長20cm前後なのに対し、それを50~60cmになるまで成長させるため、その成長にはバラツキがあり、品薄や入荷がないこともあるのだとか。
きのこ釜めしセットは一番人気らしく、訪れた客のほとんどがオーダーしていた。しめじを炊き込んだ醤油ベースの釜めしと、さしみこんにゃく、しめじ天婦羅、水炊き、漬物に梅酒が付いていた。一緒に頼んだ「奥多摩やまめの塩焼き」は、ほどよい塩加減で身がやわらかくホクホクの食感に、思わず地酒(日本酒)を追加してしまった。
これからは“桜の季節”を迎える。線路跡とハイキングと地酒、そして「奥多摩やまめ」を楽しみに、奥多摩の地を訪れてみてはいかがだろうか。
〔店舗情報〕「鳩の巣釜めし」東京都西多摩郡奥多摩町棚沢375、電話0428-85-1970、営業時間10:30~17:00(ラストオーダー16:30)、定休日/水曜日(祝日の場合は営業。翌木曜日は代休)、(価格は、入荷状況により変動あり。)
文・写真/工藤直通
くどう・なおみち。日本地方新聞協会特派写真記者。1970年、東京都生まれ。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物に関連した取材を重ねる。交通史、鉄道技術、歴史的建造物に造詣が深い。元日本鉄道電気技術協会技術主幹。芝浦工業大学公開講座外部講師、日本写真家協会正会員、鉄道友の会会員。