旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■香りを楽しむ
正解:デラウェア
難易度:★★☆☆☆
もともとは種がありました
デラウェアはぶどうの一品種で、アメリカ原産の自然交雑種です。オハイオ州のデラウェア郡で発見されたことからその名がつきました。小粒で、赤紫色の果粒が特徴です。
日本にやってきたのは明治時代初期。比較的育てやすく、高温多湿の日本の気候にも適しているという栽培のしやすさから、広く普及しました。
現代のデラウェアといえば「種なし」が当たり前ですが、もとは種のある品種でした。
種なしになった秘密は、ぶどうの花に植物ホルモン(ジベレリン)を散布する「ジベレリン処理」というホルモン処理にあります。
デラウェアは、本来は花に受粉して種ができることで実をつけます。ところが、この処理をすることで、受粉をしなくても実をならせることができるのです。
旬は7月から8月頃。露地栽培のものは7月頃から市場に出回り始め、出荷のピークは8月頃となります。
週の時期に収穫されるものは非常に糖度が高く、酸味が控えめなのが最大の特徴です。平均糖度は18〜22度ほどで、完熟品では25度以上になることもあります。
そのまま食べても美味ですが、肉料理との相性は抜群。たとえば、デラウェアを赤ワインとバルサミコ酢で煮詰めたフルーツソースは、ローストした鶏肉や豚肉、鴨などとよく合います。
また、ワインの原料としても使われています。デラウェアで醸されたワインは軽やかでフルーティーな味わい。渋みが少なく、飲みやすいのが特徴です。
近年、「大粒・皮ごと・高糖度」がぶどうのトレンドになっています。いっぽう、デラウェアは小粒で皮は出して食べなくてはなりません。ということで、市場の流れから一歩引いた感もあります。
しかし、価格が手頃というのは大きな強みで、根強い人気を維持しています。
また、農家によっては糖度を高めたプレミアムデラウェアや、無農薬にこだわった有機栽培のものも登場しており、まだまだ進化の余地を秘めたぶどうでもあるのです。