“洋食仕立て” の要となったのは赤ワインソース
「最初に今回の国産食材がうなぎと決まった段階で驚きがありました。どのようにしたらうなぎを洋食として認めてもらえるのか。正直最初は不安もあったんです」
そう語るのは、『ロイヤルホスト』を運営する『ロイヤルフードサービス』の代表取締役社長、川勝邦弘さんだ。
そもそも、『ロイヤルホスト』が、うなぎの洋食メニューに初めて挑戦した意図は何だったのか。
同社によると、「うな重やうな丼は専門店でも楽しめますが、ロイヤルの開発力・店舗の調理力を活かした、山梨マスカット・ベーリーAを使用した赤ワインソースを仕上げに使うことで、ロイヤルホストならではの洋食仕立てでうなぎを楽しんでいただきたいと考えたためです」という。
完成まで半年の試行錯誤を経て、洋食メニューとしての決め手となったのが、今回のうなぎメニューの全てに使用されている「赤ワイン入りソース」の存在だった。
ペアリングとしても楽しめる赤ワインを使用
このソースには、ペアリング用のワインとしても提供されているシャトー・メルシャン勝沼ワイナリー(山梨県甲州市)の赤ワイン「山梨マスカット・ベーリーA」が使用されている。原料であるマスカット・ベーリーAという品種のブドウは粒が大きめで渋みが柔らかく、いちごのようなフレッシュな果実のような香りに加えて、綿あめのような甘い香りも感じられるのが特徴だ。
爽やかで甘い香りを併せ持つこの赤ワイン「山梨マスカット・ベーリーA」こそが、うなぎのタレを洋風にアレンジするのにベストマッチだと分かり、今回の “洋食仕立て” の完成に至ったという。
一般的なうなぎのタレに比べて、赤ワインのフルーティーな爽やかさが最後に鼻から抜けるのが印象的だ。甘だれ独特のベタっとした重たさもなく、うなぎの美味しさが際立つかつてない味になっている。
「今回の赤ワインソースの配合には、グラム単位の調整を何度も重ねてこだわった力作です。洋食を得意とするロイヤルホストだからこそ挑戦できた新たな一品として、自信を持ってご提供したいメニューです。『こんなのもあるんだ!?』と来店していただくきっかけになってもらえたら嬉しいですね」(川勝社長)
そんな川勝社長の言葉から、ロイヤルホストを愛する17人によるエッセイ集『ロイヤルホストで夜まで語りたい』(朝日新聞出版、2025年1月刊行)の中で、自身の “ロイホ愛” を公言している芸人・藤井隆さんが「ロイホのフェアが新しい文化を教えてくれた」と語っていたのをふと思い出した。
2025年の夏、洋食仕立てのうなぎを通してまた一つ “新しい文化” の扉をロイヤルホストがそっと開いてくれたのかもしれない。
■「Good JAPAN 夏のご馳走 鹿児島県産うなぎと日本ワイン」
販売期間:2025 年 6 月 18 日(水)~9 月上旬(予定)https://www.royalhost.jp/news/images/250603_nr_GoodJAPAN.pdf
文・写真/香海楓
かい・かえで。ファッション誌営業、ライフスタイル誌編集を経て、フリーランスの編集&ライターに。古着と海外セレブと食べ歩きが好きで、日本であまり知られていない世界の料理を食べるのが趣味。好物はアメリカのファンネル・ケーキ。