無許可バーのムードでジャズに溶ける『NO ROOM FOR SQUARES(ノー ルーム フォー スクエアーズ)』@下北沢
「ちょっと吹いてみましょうか」とテナーサックスを取り出す店主の仲田晃平さん。ブワっ、ブオオオ!かなりの爆音だ。
この店は、週中は昼のカフェと夜のバー、週末はライブハウスという“ジャズの溜まり場”。店名は「頭の硬いやつはお断り」というスラングで、店のコンセプトは、禁酒法時代の無許可バー。
ジャズとカクテルが生まれた時代のニュアンスを表しており、平たく言えば、ヤバくて、ヒップ(独自センス&スタイル、わかってる感じ、を表す俗語)なのだ。この店に入ると「文化の共犯者になった気がするはず」と店主は語る。

「ジャズは元々白人(マジョリティ)にやられて地下に潜ったカルチャーが出発点。界隈じゃない人には何のことだかわからないというのが本質なんです。今の東京にはいい若手ミュージシャンが数多くいるので、応援できる場所をと思って店を開けました」。
その志に呼応するのかのように、外国人客の訪問が絶え間ないのも特徴だ。
仲田さんは「80年代ジャズはいい録音をされた盤が多い」など、選盤の目利きも独特で、「新しい何かを探している人にこの店は向いていると思います。下北沢は熱い、それでいて勝手な街。ぜひ遊びに来てください」。
Recommend Album
「On Green Dolphin Street」宮沢昭
「あ!日本の音楽家も素晴らしい!と目から鱗が落ちた一枚。黒人ミュージシャンのような音。バックが宮沢さんを『頑張れ』と煽る演奏をしています」
「NO ROOM FOR SQUARES」ハンク・モブレー
「店名の由来となった名盤。モブレーは派手なサックスヒーローではないが、いぶし銀。音は丸く、ゆったりと吹く人。そこが本当にかっこいいのですよ」
「ELECTRIC RIDER」馬場智章
「映画『BLUE GIANT』で主人公のサックス演奏を担当した馬場君。この先のジャズを見据える最重要の指標です。今の東京の音。海外に持っていく名刺」
「LOVE IS THE THING」スティーヴ・グロスマン
「大好きなサックス奏者。10代でマイルスのバンドに入った神童で、’85年の当盤はコルトレーンやロリンズへの愛にあふれ、とてもいい音で録れています」
[店名]『NO ROOM FOR SQUARES』
[住所]東京都世田谷区北沢2-1-7ハウジング北沢ビル24階
[電話]非公開
[営業時間]月:20時〜翌4時、水〜金:14時~18時、20時〜翌4時、土・日・祝はライヴに準ずる※詳細はHPもしくはSNS参照
[休日]火
[交通]小田急線ほか下北沢駅東口改札から徒歩4分
※チャージ500円別
撮影/西崎進也(K.WEST)、鵜澤昭彦(SoulBar WHAT’S UP?、BAR SCALA、NO ROOM FOR SQUARES)、取材/輔老心
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※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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