おやじグルマから憧れのクルマへ
初代セリカXXはセリカに比べると精悍なフロントマスクが与えられていて高級感もあったが、若者の琴線を刺激するクルマではなく『おやじグルマ』、『旦那グルマ』という位置づけだった。しかしリトラクタブルヘッドライトによる低いノーズ、フロントグリルに埋め込まれたイエローのフォグランプ、シャープなラインというわかりやすいスポーティなエクステリアデザインが与えられた2代目セリカXXに若者は魅了された。本当にカッコよかった。
トヨタは2代目セリカXXの5カ月前にトヨタのフラッグシップクーペの初代ソアラをデビューさせていた。初代ソアラは性能、人気とも日本車の頂点に君臨していたが、それと双璧をなしたのが2代目セリカXXだった。2代目の登場によりセリカXXはおやじグルマから一躍若者の憧れのクルマの一台となったのだ。
若者のクルマに対するパワー
広島県の田舎町の中学生だった筆者だが、先輩も含めて周りにもクルマ好きは多くいて、当時はソアラ派とセリカXX派に分かれていた。現代社会では先輩、後輩の関係は年々希薄になりがちだが、1980年代の地方の田舎町では先輩、後輩の関係は強固で5~6歳年上の先輩からいろいろ学ぶことは多く、特にクルマに関してはほぼそうだった。
高校3年生の3月に免許を取得し、卒業後にすぐにクルマを購入というのが当たり前。大学に行かない代わりに親からクルマを買ってもらう人、”漢の60回ローン”を組んで収入のほぼすべてをクルマにつぎ込むというのもごく普通だった。
当時は無謀と言われようが、高校卒業後に新車で高額車を買う先輩も多く、新型ソアラは3人、2代目セリカXXは2人、筆者の先輩で買った人がいた。そのクルマでドライブに連れて行ってもらうのが当時の最高のひと時で、いいことも悪いことも先輩から教わった。
“時代”という言葉で片づけるのは簡単だが、クルマが若者を魅了し、しかも2ドアクーペを買うために生きる、というパワーは今考えても凄いと思う。
ソアラよりもスポーティな仕上げ
2代目セリカXXのボディサイズは全長4660×全幅1685×全高1315mm。セリカクーペ&リフトバックが全長4435×全幅1665×全高1320mmだから、全長で225mm長いため同じようなハッチバック形状でも伸びやかさが違う。
一方初代ソアラのボディサイズは全長4655×全幅1695×全高1360mm。2代目セリカが45mm背が低いほかはほぼ同サイズ。しかし直線基調かつノーズが低い2代目セリカXXのほうがスポーティに仕上げられていた印象が強い。