全店実食調査!『おとなの週末』が自信を持っておすすめするお店をご紹介します。今回は、東京・目黒のギャラリー&ブックカフェ『ふげん社』です。
大切にしたい言葉と写真に向き合えるプライベート図書館
都心ながら駅はどこも遠いが、『ふげん社』にはいつも読書と喫茶を楽しむ客の姿がある。
カウンター席を抜けると、三方の壁が天井近くまで書棚になった大空間が広がる。まるで図書館のよう。遠方からもわざわざ来たくなるブックカフェだ。
元々は築地にあった。高精細な印刷を得意とする印刷会社・渡辺美術印刷が、写真家などの表現者、本の作り手である印刷会社、読者が交流できるコミュニケーション拠点を設けたのが始まりだ。
片隅に本を置くようになり、ブックカフェとして発展。2020年に当地に移転。1階はブックカフェ、2階はワークショップ会場、3階はギャラリーとして機能する。
揃える本について代表の渡辺薫さんは話す。
「写真集や絵本、詩集が比較的多いかもしれません。選書のポイントは時代が変わっても色褪せない本であること。小さな印刷会社には、小さな言論を守る使命があります。心を動かす表現が収められた、ずっと手元に置いておきたい本を選んでいます」
出版も手がけ、写真集を中心に少量高品質な本作りを続けている。写真家を支援するために創設した「ふげん社写真賞」は第5回を迎えた。グランプリ受賞者には、ギャラリー展示と写真集出版の権利が授与される。
「日本の写真集は、単なる図録ではなく、編集によって一冊の作品に仕上げる独自の文化です。歴代受賞者の写真集もゆっくり鑑賞していただけます」(ディレクター・関根史さん)。
コーヒーには、伝説的な名喫茶を営んだ大坊勝次氏直伝のもと、手回しロースターで自家焙煎した豆を使う。この最高の隠れ家、ヒミツにしておきたいが、もう遅いか。
【owner’s recommend】『Moon Rainbow』守田衣利
渡辺薫さんが「いつも自宅の居間に置いておきたい」一冊。2005年に誕生した娘が18歳になるまでの日常を切り取った第4回ふげん社写真賞受賞作。
「淡々としつつも、温かい母の眼差しを感じる写真に心打たれます」
目黒『ふげん社』
[店名]『ふげん社』
[住所]東京都目黒区下目黒5-3-12
[電話]03-6264-3665
[営業時間]火~金:12時~19時、土・日は~18時
[休日]月・祝
[交通]JR山手線ほか目黒駅から徒歩15分、目黒駅西口より東急バス(黒01、黒02、黒07)元競馬場前下車徒歩1分
■おとなの週末2025年12月号は「冬の温蕎麦」

撮影/松田麻樹、取材/渡辺高
※月刊情報誌『おとなの週末』2025年10月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。








