×

気になるキーワードを入力してください

SNSで最新情報をチェック

早稲の水田が広がる地に、大隈重信が東京専門学校を創立したのは1882年。その後、早稲田大学と呼ばれるようになり、多くの学生、教授たちの集う地として発展し、今も多くの老舗が残る。今回は、学生はもちろん近隣のビジネスマンも通う居酒屋、喫茶店、さらに今話題の店などを集めてみました。

icon-gallery

学生街に佇む宿木で味わう絶品おでんと粋な風情『志乃ぶ』@早稲田

都電の停留所からすぐの細い路地を入った先に、赤提灯が並んでいる。ここは昭和29年に初代の女将が始めた居酒屋で、今から30年ほど前に縁あって近田さんが引き継いだ。

白木のカウンターの隅で静かに出番を待っているのがおでん。“味を変えないでね”という初代の言いつけを守り、カツオや昆布、煮干しから丁寧にダシをひき、塩で味を調える。茶色く見えるが実は醤油は一滴も使っていない。

おでん3品600円〜

『志乃ぶ』おでん3品 600円〜 日本酒やみりんを効かせたほんのりとした甘みが酒を進ませる。写真は大根、玉子、ロールキャベツ。他に練り物など種類豊富に用意

営業を終えると半分だけ残し、翌日新たなダシを足すのも昔から変わらぬスタイルで、積み重なった具材のエキスとたっぷりの酒と味醂がまろやかなコクを生んでいる。味の染みた大根や厚揚げをつつきながら、かたわらに置くのは灘の酒、白鶴。杉の四斗樽から片口を介しヒノキの枡へと注がれたそれを含めば清らかな香りが口内をそよいだ。

そんな味と風情を求めてやってくる客の中には、早大職員や卒業生も大勢いて、歴代のアルバイトもみな早稲田の学生さん。祖父と孫ほど年の離れた常連OBとのやりとりを眺めているだけでもほっこりするし、昭和から令和と世代を経ても変わらぬ風通しの良い校風に憧れる。帰って来る人、飛び立っていく人。

近田さんは日々、淡々と仕事をこなしながらこの学生街に佇む宿木を守っていた。

『志乃ぶ』店主 近田千秋さん

店主:近田千秋さん「お酒とおでん&おつまみで、ゆったり過ごして!」

『志乃ぶ』肌触りの良い白木のカウンターや店の風情も創業当時のままの姿を残す

[店名]『志乃ぶ』
[住所]東京都新宿区西早稲田1-19-17
[電話]03-3203-1648
[営業時間]17時〜22時(21時半LO)
[休日]水、日・祝
[交通]東京さくらトラム(都電荒川線)早稲田駅から徒歩1分

次のページ
肴にストーリーあり、風情あふれる百年酒場『源兵衛』@早稲田
icon-next-galary
1 2 3icon-next
関連記事
あなたにおすすめ

この記事のライター

『おとなの週末』編集部
『おとなの週末』編集部

『おとなの週末』編集部

おとなの自動車保険

最新刊

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌『おとなの週末』。2025年10月15日発売の11月号では、「頬…