オラオラ顔の走り
初代エルグランドのエクステリアデザインの最大の特徴は、上下ダブルに配置されたヘッドライトと大型のフロントグリルによる迫力のあるフロントマスク。1990年代中盤にブームとなったシボレーアストラのように上下にクッキリと分けられていたわけではないが、アメリカンな雰囲気も醸し出していた。”オラオラ顔”の走りでもある。威風堂々というのがピッタリな押し出しの強さに魅力を感じた人は多い。
真横から見た時に特徴的なのは、前後バンパーとつながる下部分のラインが高い位置にあるため、背の高いモデルにありがちな不安定感は皆無で、どっしり感がある。
一方リアはBOXタイプと呼ぶにふさわしい箱感がある。フロントマスクのようなアピールポイントはないが、シンプルにまとめられている。
2列目シートの快適性はケタ違い
室内については広さ、使い勝手のよさなど実用性を追求する一方で、シート素材にこだわり高級感のある豪華なインテリアに仕上げていた。ミニバンを購入するユーザーにとっては、シートアレンジの多彩さも刺さったハズ。1990年代のミニバンは1列目から2列目へのウォークスルー、回転対座、フルフラットなどなどシートアレンジの多彩さを競っていたが、Lクラスの高級ミニバンの初代エルグランドもひと通り備えていた。当時からミニバンのシートアレンジは、買った直後こそいろいろ試すけどすぐに面倒になる、と言われていたが、当時は”できる”のが当たり前で、”できない”と大幅に魅力ダウン、すなわち購入の選択肢から外されることを意味していた。
インパネについてはほぼセダンと同じデザインで視認性を追求。デザインは曲線をうまく配置してスタイリッシュなフィニッシュを見せた。ウォークスルーを実現させるためにセンターコンソールは存在せず、その代わりセンターパネル下に大きな収納スペースが用意されていた。
ミニバンの室内で重要なのは今も昔も2列目の快適性。初代エルグランドは2列目/3列目は490mmのロングスライドが可能なスーパーマルチシートを初採用。乗車定員は7名と8名だったが、乗員の数によって多彩にアレンジできた。
当時の日産の塙社長も社長車として初代エルグランドのロイヤルラウンジを使い、走る社長室とも呼ばれていた。
エンジンは2種類を設定
初代エルグランドのパワーユニットは、3.3L、V6SOHC(170ps/27.1kgm)と3.2L、直4OHVディーゼルターボ(150ps/34.0kgm)の2種類でともに4速ATが組み合わされた。高級感を満喫するには静粛性の高いV6ガソリン、太いトルクで余裕のある走りを楽しみたい場合は3.2Lディーゼルターボという感じで選択できた。
最終的にはガソリンエンジンは、3.5L、V6DOHC(VQ35DE型)に進化し、静粛性はさらに向上ししてドライブフィールもスムーズになりより高級感を増した。
キャラバン/ホーミーの乗用モデルだが、クロカンのテラノのプラットフォームを使用していることもあり、駆動方式はFR(後輪駆動)と4WDを設定していた。2トンを超える超重量級ボディながら4WDは走破性に優れたオールモード4×4を採用していたので、降雪地域でも安心して走ることができたのはポイントが高い。






