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今でこそ世界で確固たる地位を築いている日本車だが、暗黒のオイルショックで牙を抜かれた1970年代、それを克服し高性能化が顕著になりイケイケ状態だった1980年代、バブル崩壊により1989年を頂点に凋落の兆しを見せた1990年代など波乱万丈の変遷をたどった。高性能や豪華さで魅了したクルマ、デザインで賛否分かれたクルマ、時代を先取りして成功したクルマ、逆にそれが仇となったクルマなどなどいろいろ。本連載は昭和40年代に生まれたオジサンによる日本車回顧録。連載第73回目に取り上げるのは1989年にデビューした日産スカイラインGT-R(R32型)だ。

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R35スカイラインが生産終了

日産は2025年2月に8月の生産終了までの生産予定分のオーダーが入ったことにより、1月末の時点でGT-Rの新規受注を終了したことをホームページ上で明らかにしていた。その言葉どおり、2025年8月26日に日産の栃木工場においてR35GT-Rの最終生産車のオフライン式が開催された。そう、日本を代表するスーパースポーツカーがついに生産終了となってしまったのだ。

R35GT-Rは日産再建を目指す当時のカルロス・ゴーン社長の肝いりの一台で2007年に登場。スカイラインの名を捨て、GT-Rとして独立車種となった。2007~2025年の18年間で約4万8000台が生産され、その37%が日本で販売された(約1万7800台)。R32GT-Rがオーストラリア、R33&R34GT-Rがイギリス、ともに右ハンドルの国に少数輸出されていた程度で、ほぼドメスティックカーだったのに対し、R35GT-Rは欧米でも人気だったのは販売の海外比率からもわかる。

栃木工場で開催された最終生産車オフライン式のもよう

日産のエスピノーサ社長が次期GT-Rの存在を明言!?

R35GT-Rは、当時のゴーン社長から全権を任されていた開発責任者の水野和敏氏の情熱が注がれた一台。水野氏は2013年3月いっぱいで日産を退社し、その後のGT-R開発を引き継いだのは田村宏志氏で、水野氏同様に熱いマインドで開発を続けた。

水野氏の作品も田村氏の作品も同じGT-Rながら、まったく別物と称されるのは、両氏のスポーツカーに対するスタンス、ポリシーの違い、そして日産がGT-Rに何を求めていたのかの違いで、いい悪いではないと思う。個人的に両氏ともにリスペクトしているが、日産には存在しなかった超高性能スポーツを一から作り上げた水野氏は偉大だ。

日産からGT-Rの車名が消えてしまったのは残念だが、日産のイヴァン・エスピノーサ「GT-Rファンの皆さま、これはGT-Rとの永遠の別れではありません。(中略)現時点で正確な計画は確定していませんが、GT-Rは進化し、再び登場するでしょう」というコメントを信じてその時を待とう!!

第2世代、第3世代GT-Rが4台勢ぞろい

R32で16年ぶりにGT-Rが復活

日産にとってGT-Rというクルマは昔から特別な存在だ。70歳以上の世代のクルマ好きにとっては、第一世代のハコスカGT-R(PGC10型/KPGC10型)、ケンメリGT-R(KPGC110型)の凄さというのを実感しているかもしれないが、筆者も含めアラカン世代、それよりもちょっと下の世代にとっては、GT-Rというクルマの凄さや別格の存在であることを実感したのは1989年デビューのR32スカイラインGT-Rだろう。

R32GT-Rに今でも憧れている人は多いはず

GT-Rとはスカイラインの高性能モデルなのだが、このR32GT-Rの最大のトピックスは、16年ぶりに復活した点だ。第一世代GT-Rは、初代スカイラインGT-RであるハコスカGT-Rで超高性能の代名詞として認知されたものの、2代目のケンメリGT-Rは、搭載するS30型2L、直6ターボエンジンが昭和48年排ガス規制に適合できず、デビュー後3カ月で生産・販売を終了(総生産台数はわずか197台)した幻の一台だったために、筆者よりも上の世代にとっては特別な思いがあったのだろう。

筆者はR32GT-Rがデビューした時は大学4年生。もともとスカイラインに強い思い入れはなかったし、むしろスカイラインよりもマークII、スープラ、ソアラといったトヨタ系モデルのほうに興味があったため、GT-Rが16年ぶりに復活と聞いても感激はなかった。しかし、その後それが愚かだったことを痛感するほどの衝撃を受けた。

BBSのホイールを装着するVスペックIIは大人気となった
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GT-Rの名前を安売りしない
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市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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