GT-Rの名前を安売りしない
GT-Rの車名はGT:グランツーリスモとR:レーシングを合わせたもの。レーステクノロジーが投入されたモデル、レースで勝つためのモデルという想いが込められている。前述のとおり、2代目のケンメリGT-Rはわずか197台で生産・販売終了となった後、Rの付くモデルは6代目(ニューマンとか鉄仮面と呼ばれるモデル)にRS、7代目(セブンスと呼ばれるモデル)にGTS-Rがあるが、GT-Rと命名されなかった理由は何か。
それは6代目のRSターボのエンジンは2L、直4ターボで、GT-R=直6というイメージに反するから。7代目のGTS-RはGT-Rと呼ぶにふさわしい性能がなかったというのが理由と言われている。GT-Rの名前は安売りしないという日産の矜持がそこにあるのだ。だからこそR32GT-Rの登場は”好き者”を歓喜させたのだ。
日産以外にもGT-Rが存在
話はそれるが、基本的に車名というのは各メーカーが商標登録しているため、他メーカーでは使用できない。これはグレード名についても同様。これは車名やグレード名だけにとどまらず、ルノークリオがかつてホンダの販売会社として存在たクリオ店と被るということでルーテシアとして現在も販売しているのは有名な例だ。
しかしGT-Rというグレード名は、いすゞベレットGTR(ハイフンなし)、トヨタセリカ2000GT-R、マツダサバンナRX-7GT-R、マツダファミリアGT-R、マクラーレンF1 GTR、BMW M3GTRなどなどいろいろなメーカーに存在する。それはGTやRSというグレードがいろいろ存在するのと同じで、固有の商標登録ができないためだ。ただ、GT-R=スカイラインまたはGT-R=日産というイメージが最も強いのは言うまでもない。
280psメーカー自主規制のきっかけとなった
で、R32GT-Rだ。R32GT-Rは1989年5月に8代目となるR32型スカイライン4ドアセダン&2ドアクーペと同時に発表された。スカイラインシリーズは発表・発売が同時だったが、GT-Rは10月から販売開始。日産は同年7月にフェアレディZ(Z32型)を発表・発売したため、このZが日本車初の280psとして有名だが、発表ベースで言えばR32GT-Rが初ということになる。まぁ、日産がZ、R32GT-Rで立て続けに280psモデルを登場させたことが契機となり、その後2004年に4代目ホンダレジェンドが300psで登場するまで『280psのメーカー自主規制』という名の強制が15年も続いたのだ。
日本メーカーのエンジニアは、制約が多ければ多いほど燃えて高い壁を乗り越えていき独自の進化を遂げたのは事実だが、この悪しき慣例が日本車の進化、特に対欧州に及ぼしたネガは否定できない。
-
¥4,380(税込)
-
¥5,400(税込)
-
¥5,100(税込)
-
¥5,280(税込)