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今でこそ世界で確固たる地位を築いている日本車だが、暗黒のオイルショックで牙を抜かれた1970年代、それを克服し高性能化が顕著になりイケイケ状態だった1980年代、バブル崩壊により1989年を頂点に凋落の兆しを見せた1990年代など波乱万丈の変遷をたどった。高性能や豪華さで魅了したクルマ、デザインで賛否分かれたクルマ、時代を先取りして成功したクルマ、逆にそれが仇となったクルマなどなどいろいろ。本連載は昭和40年代に生まれたオジサンによる日本車回顧録。連載第75回目に取り上げるのは1995年にデビューした初代ホンダインテグラタイプRだ。

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インテグラは若者御用達

初代はクイントから派生したクイントインテグラとして1985年登場。3ドアクーペ、4ドアセダン、5ドアハッチバックセダンというラインナップだった。クーペはプレリュードの弟分、4ドアセダンはシビックとアコードの間をカバーするモデル、5ドアハッチバックは唯一のものとして幅広い年齢層をターゲットとし、全タイプに当時人気のあったリトラクタブルヘッドライトが与えられていこともあり、スポーティでオシャレというホンダのイメージ確立にも大きく貢献。特に3ドアは車両価格が安めの設定だったこともあり若者から支持され、シリーズ通してそこそこの成功を収めた。

初代インテグラは1985年にシビックとアコードの間をカバーするモデルとしてクイントから派生

2代目は1989年に登場。この時にクイントの名前が外れ、単独のインテグラとなった。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で人気となったマイケル・J・フォックスが「カッコインテグラ」と言うTV CMも話題になったのも懐かしいがが、リトラクタブルヘッドライトの廃止、4ドアセダンから4ドアハードトップへの変更、バルブタイミングとバルブリフト量まで制御するホンダのVTECを初搭載したことがトピック。

バルブ崩壊というネガはあったものの、販売は初代の約2倍になるなど大ヒット!!

カッコインテグラに初のVTECエンジン搭載

フルモデルチェンジで販売激減

すべての商品ついてい言えることだが、『ヒットした次のモデルは難しい』。移動の手段としてだけでなく趣味趣向が販売に直結するクルマではなおさら。そんななか、ホンダは大きな冒険に出た。3代目インテグラ(1993年デビュー)を超個性的な丸4灯ヘッドライト+グリルレスというフロントマスクで登場させたのだ。

ヤツメウナギと称されたフロントマスクは賛否どころか否定派のほうが多かった。RVブームによりクロカン、次にステーションワゴン、さらにホンダオデッセイ登場により乗用タイプミニバンブームのなか、クーペ、セダンの販売が減っていたのは事実だが、このフロントマスクの影響は大きかったはずだ。

独立した4灯ヘッドライトのデザインからヤツメウナギと揶揄されていたが、今見ると悪くない!?

筆者個人的には丸目4灯のフロントマスクはいいと思っていた。ただ、グリルレスというのが失敗だったように思う。

奇しくもインテグラが丸目4灯の顔をやめた1995年にアルファロメオGTVが登場。インテグラと同じタイプの丸目4灯でデビューしたが、なぜかこちらのデザインは評価が高かった。当時はホンダは酷評でアルファは絶賛って……、と思いながらもアルファロメオGTVには小さいながらも伝統の盾形グリルによりインテグラよりも引き締まった印象だったのは事実だ。

ヤツメウナギインテグラと入れ替わるように1995年に登場したアルファロメオGTV

フロントマスクを大胆チェンジ

危機感を覚えたホンダはインテグラを1995年にマイナーチェンジ。フロントマスクに大きくメスを入れ、丸目4灯からオーソドックスな横型ヘッドライトに大幅変更。これによってシャープで端正な顔つきとなった。Aピラーより後ろは同じながら、前期と後期では同じ車とはお思えないような変身を遂げた。

個性的な丸4灯ヘッドライトの顔からオーソドックスな横長ヘッドライトで大変身

しかしホンダは、3ドアのSiR-IIというグレードに関しては丸目4灯ヘッドライトのモデルを4代目に切り替わるまで販売を続けた。つまり前期型の顔のモデルと後期型の顔のモデルが混在していたという珍しいパターン。丸目4灯好きのために残したのだろうが、こんなことができたのは、欧州では最後まで丸目4灯モデルが販売されていたからだ。

このマイチェンと同時にタイプRが追加された。インテグラタイプRは欧州でも販売されたが、前述のとおり欧州は丸4灯ヘッドライトのモデルしか存在しないため、日本には存在しない丸目4灯のタイプRが販売されていた。当時も一部のショップが欧州から並行輸入して、日本のタイプRの倍くらいという強気の価格で販売していた。

欧州では丸目4灯のインテグラタイプRが販売され人気
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タイプR第2弾
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この記事のライター

市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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