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ユーザーはないものねだり

95年にデビューした初代インテRだが、98年1月登場の98スペック、99年12月登場の通称00スペックと進化。98スペックではタイヤのワイド化(195→205)、ホイールのインチアップ(15インチ→16インチ、4穴→5穴)、ボディ剛性の強化などが施されたが、賛否あったのはECUの変更だろう。

これは一部のユーザーか96 Spec Rが扱いにくいとの声があったようで、それに応える形でややマイルドな方向にシフト。それに合わせてギア比も変更されている。

00スペックではイエローのボディカラーが追加され人気となった

最後の通称00スペックはキーレスエントリー、オーディオ類の充実、電動格納ドアミラーなど快適装備を加えたタイプR・Xが追加されたのがメイン。

ユーザーとはないものねだりだ。インテRはその典型で、走りのスタビリティの高さ、進化では98スペックを歓迎しながらも、エンジンについては96 Spec Rのほうがよかった、という意見は今でも多い。

イエローのボディカラーでは専用のイエローのレカロシートが選べた

買い得感がハンパない

NSXタイプRが970万7000円という当時の超高額車だったのに対し、インテグラタイプRはクーペが222万8000円、セダンが226万8000円という誰もが買える価格で登場させたのが凄いことだ。タイプRの大衆化により多くのクルマ好きが幸せになったのは紛れもない事実。

インテグラタイプRのデビュー時の車両価格をクーペ同士で比較すると、SiRが177万8000円に対しインテグラタイプRは222万8000円。その差45万円しかない。ホンダの持てるレーステクノロジーを押賀もなく投入し、大幅に軽量化されたモデルが45万円高で買えたのは奇跡だろう。たぶんSiRをベースに後から同じチューニングをしようと思ったら+150万円ではできないはず。メーカーの偉大さでもある。

初代インテグラタイプRでは利便性に優れる4ドアが設定されていたのも人気だった要因

インテグラタイプRがデビューして丸30年が経過したわけだが、悲しいことにその間日本人の給料はほぼほぼ上がっていない。でも今インテグラタイプRが売っていたとした400万円オーバーは確実。当時から買い得感が高いと言われていたが、今考えてもそのコスパは最強レベルだったと言っていいだろう。最高のエンジン、驚愕の運動性能、ホンダのDNA注入というバックボーンがあって買い得感が高い。こんな車が愛されないわけがない。

若者だけでなくクルマ好きを熱中させた初代インテグラタイプR

【初代ホンダインテグラタイプRクーペ(5MT)主要諸元】
全長:4380mm
全幅:1695mm
全高:1320mm
ホイールベース:2570mm
車両重量:1060kg
エンジン:1797cc、直4DOHC
最高出力:200ps/8000rpm
最大トルク:18.5kgm/7500rpm
価格:222万8000円

大型のリアスポイラーは重量増になったが、大きなダウンフォースを生みコーナリング性能を高めた

【豆知識】
プレリュードのビッグネームが復活して話題になっているホンダだが、実はそれよりも前にインテグラは2021年に中国、2022年にアキュラブランド(北米マーケット)で復活を果たしているのだ。ともに現行シビックとプラットフォームを共用するモデルで、中国のインテグラはほぼほぼシビックと同じデザインながら、アキュラインテグラは専用のアキュラ顔が与えられるなど差別化されている。日本での販売期待も高まっていたが、アキュラブランドを日本で販売していないためその可能性はほぼゼロだろう。

アキュラ顔に仕上げられているインテグラ。スポーツモデルも投入されている

市原信幸
1966年、広島県生まれのかに座。この世代の例にもれず小学生の時に池沢早人師(旧ペンネームは池沢さとし)先生の漫画『サーキットの狼』(『週刊少年ジャンプ』に1975~1979年連載)に端を発するスーパーカーブームを経験。ブームが去った後もクルマ濃度は薄まるどころか増すばかり。大学入学時に上京し、新卒で三推社(現講談社ビーシー)に入社。以後、30年近く『ベストカー』の編集に携わる。

写真/HONDA、ベストカー

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市原 信幸
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