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寒くなると、湯気を上げてやってくる蕎麦をはふっと啜りたくなります。温かいツユ、なめらかな蕎麦、季節を感じる具材たち。これらが合わさったとき、得も言われぬ感動が訪れます。そんな“傑作”を探すべく都内で大調査。海鮮具材の温蕎麦、厳選の3杯をお届けします。冬はほっこり、身も心もあったまってください。

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かけ汁の旨みと貝のエキスが掛け算で広がる老舗の新メニュー『築地さらしなの里』@築地

ツユをひと口飲んで、ため息が出た。ふた口飲んで思わず天井を仰いだ。そんな静かな感動を覚えたのが、明治32年創業の老舗の4代目が生んだこの一杯だ。

しじみそば1600円

『築地 さらしなの里』しじみそば 1600円 身を口に含めば、磯の風味と旨みが一気に弾ける。食べ進むうちに貝の風味が強くなる味のグラデーションも楽しみたい

オレンジ色を帯び、ぷっくり膨らんだ貝の正体は三重県桑名の沖シジミ。アサリやハマグリと見紛うばかりのサイズ感もさることながら、キュートなルックスからは想像もつかぬほど濃く、力強い旨みに満ちていた。

そもそも産地の界隈で親しまれてきたこの貝が東京に出回り始めたのが今から7〜8年前のこと。

「付き合いのある市場の卸から紹介されて使ってみたら、不思議なくらいうちのかけ汁と相性がぴったりだった」と4代目。

そんなかけ汁のダシはカツオ節も昆布も使わず、厚削りのサバ節一本でとる。ほのぼのとした味わいにシジミのエキスが加われば、足し算ではなく掛け算で両者の旨みが膨らんでいく。さらに楽しみ方がもうひとつ。

「通常は二八蕎麦でお作りしていますが、更科蕎麦に変更してみるのもおすすめです」(4代目)。

試しに挑んでみれば、なめらかな肌の啜り心地も良く、温めてしなやかさを増した麺と汁が器の中でしっとり馴染んだ一体感に、これが大正解と膝を打った。

この「しじみそば」、店の歴史からすればまだまだ新メニュー。こんな名作が潜んでいるから、やっぱり温蕎麦探訪はやめられない。

『築地 さらしなの里』

[店名]『築地さらしなの里』
[住所]東京都中央区築地3-3-9
[電話]03-3541-7343
[営業時間]11時〜20時半※土・日・祝は〜15時
[休日]無休
[交通]地下鉄日比谷線築地駅3a出口から徒歩1分

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和食出身の腕が冴える絶品にしんを蕎麦と味わう至福の時間『蕎麦割烹ながの』@曳舟
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『おとなの週末』編集部
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