スバルのクロスオーバーカー
そのスバルは1994年にレガシィの車高を上げてステーションワゴンと今でいうSUVとのクロスオーバーカーであるレガシィアウトバックを北米、カナダで販売。日本では1995年にグランドワゴンとして販売を開始した(1997年にランカスターと車名変更)。
スバルは今も昔も変わらずラインナップは少数精鋭を貫き通している。クロカンブームの時には自社開発ではなく、いすゞとの提携によりいすゞビッグホーンをスバルビッグホーンとして販売。ビッグホーンはホンダにもOEM供給され、ホンダホライゾンとして販売されていた。こちらは専用グリルがあてがわれていたが、スバルビッグホーンは名前も本家と同じビッグホーンだったし、ロゴがいすゞからスバルに代わっただけのバッジ替え。
一方インプレッサをベースとしたクロスオーバーカーとしては、1995年に登場したインプレッサグラベルEX(EXと書いてエックスと読む)がある。車高をアップさせているのはグランドワゴンと同じ手法だが、クロカンテイストを持たせるために背面タイヤが装着されていた。実はこのインプレッサのクロスオーバーカーのグラベルEXは現在のクロストレックの源流でもあり、初代フォレスターの試金石でもあったと言われている。
ドイツでコンセプトカーを世界初公開
1994年頃から自動車雑誌『ベストカー』をはじめ、自動車専門誌でスバルの新型クロスオーバーカーの存在をキャッチしてスクープ記事が展開されていたが、そんななかスバルは1995年のフランクフルトショー(ドイツ・現IAAモビリティ)にクロスオーバーSUVのコンセプトカー、『STREEGA(ストリーガ)』を世界初公開。
角張ったデザイン、ワゴンとSUVのクロスオーバーというキャラとも初代フォレスターを示唆するコンセプトカーで間違いはないのだが、実は市販を前提としたプロトタイプではない。フォレスターは初代インプレッサのプラットフォームを使っているが、ストリーガは2代目レガシィのプラットフォームを使って作られたデザインなどを示唆するショーカーだったのだ。そのためフォレスターのホイールベースが2525mmだったのに対しストリーガは2580mmとかなり長い。
こぼれ話としては、このストリーガは東京モーターショー1995にも出展され日本で初公開された。当時の東京モーターショーは、乗用車館と商用車館が分かれていたのだが、ストリーガはなぜかスバルのメインブースではなく商用車館に展示されていたのだ。東京モーターショーのベストカーの取材スタッフ(筆者含む)も、スバルブースにストリーガが展示されてなくて焦ったのも懐かしい。
SUVらしくない背の低さ
初代フォレスターのボディサイズは全長4450×全幅1735×全高1580mm。ベースとなった初代インプレッサが全長4340×全幅1695×全高1405mmだから、全長が110mm、全幅が40mm、全高が175mm大型化されている。レガシィの全幅を3代目まで5ナンバーサイズ(1700mm以下)を死守したように、スバルは他メーカーよりも5ナンバーの全幅にこだわっていたなか、全幅1735mmで登場したことで話題になった。
それよりも特筆はSUVタイプとしては背が低いこと。2Lクラスのクロカンタイプのライバルの全高はRAV4(1660mm)、CR-V(1705mm)、エスクード(1740mm)、パジェロジュニア(1660mm)、ミューウィザード(1750mm)と軒並み1600mm超えだったから、フォレスターの個性が際立っていた。その一方でSUVらしくない、ワゴン的だから特別感がないと否定的な意見もあった。ちなみに当時ほぼほぼワゴンという認識の強かったレガシィランカスターの全高が1550mmだったからその差はわずか25mm。ワゴン的に映ったのも当然だろう。
SUVとしてはワゴン的で低い全高のフォレスターだったが、最低地上高は本格的にクロカン並みの200mmを確保していたため、”なんちゃってSUV”などと言われなかった。







