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ライバルを寄せ付けないハンドリング

また背が低いことに起因する重心の低さを活かし、オンロード、特にワインディングではクラスナンバーワンのハンドリングと称賛されていた。実際に筆者も箱根ターンパイクの要はハイスピードコーナーが連続するワインディング、芦ノ湖スカイラインの低中速コーナーなど、取材、撮影時に何度もステアリングを握ったが、サスペンションの伸び側と縮み側とも絶妙に動く足に感激したのを覚えている。何よりスタビリティが高いので、走っていて安心感が絶大だった。

ワインディングを走らせれば当時のRVに分類されたクルマでフォレスターはピカイチ

その究極モデルが2001年のマイチェンで追加されたS/tB-STi(当時はiは小文字)で、STiの専用チューニングされたローダウンサス、エアロパーツなどが装着されていた。後に800台限定のSTi-IIも発売された。

800台限定で販売されたSTi IIタイプM

TV CMにお金をかけていた!!

1990年代のスバル車のTV CMと言えば”外タレ”抜きには語れない。初代レガシィでアメリカの俳優のブルース・ウィリスを起用して以来、初代インプレッサには俳優のカイル・マクラクラン、同ウィノナ・ライダー、2代目レガシィはミュージシャンのロッド・スチュワート超が付く大物揃い。

で、初代フォレスターのTV CMに起用されたのが同じくアメリカの俳優のアントニオ・バンデラスということで超豪華。スバルってクルマ作りはマニアックなイメージが強いが、CMに関しては超ミーハーだった。

よく言えばシック、悪く言えば飾りっ気がない室内の使い勝手はよかった

フォレスターのCMソングで筆者が印象に残っているのは、ポール・ヤングの名曲『Everytime You Go Away』。美しいメロディラインのバラードが郷愁を誘うと感じるのは筆者だけだろうか。

初代フォレスターのCMは、バンデラスが女性とキスしているところから始まるデート編のほかUFO編、オフロード編、オンロード編などなど、今では考えられないくらいたくさんのバリエーションが存在した。

エクステリア同様にインパネ類も質実剛健なイメージの仕上げ

現行モデルは6代目

フォレスターは1997年に初代モデルがデビューして、現行モデルが6代目となる。今ではスバルはレガシィシリーズを日本で販売していないし、他メーカーを見ても単発で終わるクルマ、ビッグネームが消滅したりしているなか、2025年の段階で6世代約30年継続しているのは素晴らしい。電動化が進む昨今でありこの先はわからないが、少なくともあと5年は続くだろう。

個性を主張しながら成功を収めた初代は偉大だ

そのフォレスターは時代のニーズに合わせて進化を続け、2代目以降はいわゆるSUVっぽいコンセプト、デザイン、言ってみれば普通になった。初代が成功したから今がある。そういう意味で初代フォレスターは歴代で最もチャレンジングかつ個性的だったにも関わらず成功を収めたのは称賛に値する。

フォレスターは時代とともに進化を続けている

【初代スバルフォレスター(5MT)主要諸元】
全長:4450mm
全幅:1735mm
全高:1580mm
ホイールベース:2525mm
車両重量:1390kg
エンジン:1994cc、水平対向6気筒DOHCターボ
最高出力:250ps/6250rpm
最大トルク:31.2kgm/4000rpm
価格:248万5000円
※1997年2月デビュー時のスペック

STiの登場もフォレスターのスポーツイメージを高めるのにひと役買った

【豆知識】
6代目となる現行フォレスターは2025年4月から日本で販売を開始。ボディサイズは全長4655×全幅1830×全高1730mmで、初代と比べるとかなり大型化されている。パワーユニットは1.8L、水平対向4気筒DOHCターボと2.5L、水平対向4気筒DOHC+2モーターのS:HEVの2種類。スバル初のストロングHEVは人気が高く、想定を超える高い販売比率をマークしている。全モデルAWDで、価格は404万8000~459万8000円。ちなみに初代フォレスターのデビュー時の価格は199万7000~248万5000円。

路面状況に関係なく安心・安全に走ることができるのが現行フォレスターの大きな魅力

市原信幸
1966年、広島県生まれのかに座。この世代の例にもれず小学生の時に池沢早人師(旧ペンネームは池沢さとし)先生の漫画『サーキットの狼』(『週刊少年ジャンプ』に1975~1979年連載)に端を発するスーパーカーブームを経験。ブームが去った後もクルマ濃度は薄まるどころか増すばかり。大学入学時に上京し、新卒で三推社(現講談社ビーシー)に入社。以後、30年近く『ベストカー』の編集に携わる。

写真/SUBARU、ベストカー

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市原 信幸
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