酒の造り手だって、そりゃ酒を飲む。誰よりもその酒のことを知り、我が子のように愛する醸造のプロ「杜氏」は、一体どのように呑んでいるのか?今回は宮城県塩竈市にある佐浦を訪ねた。コンビニやスーパーなどでも購入できる人気酒『浦霞』。それぞれひとつの蔵を任され酒造りをする杜氏ふたりの、会社帰りの一杯の様子です。
1997年、佐浦に入社し、2022年に矢本蔵杜氏に就任
【高橋敬治氏】(※「高」の字は、本来はしごだか)
1972年、宮城県高清水町(現栗原市)生まれ。東京農大醸造学科卒業後、1997年、「佐浦」に入社。2022年、矢本蔵杜氏に就任。
1998年、佐浦に入社し、2024年に本社蔵杜氏に就任
【山田徹氏】
1969年、宮城県七ヶ浜町生まれ。高校卒業後、酒販店勤務を経て、1998年、「佐浦」に入社。2024年、本社蔵杜氏に就任。
料理に合わせた浦霞を1杯目から
「普段の晩酌は、浦霞の定番のラインナップの中から、夕飯の献立に合わせた1本を選んで酌む」と二人の杜氏は言った。
共に「浦霞」を醸す佐浦の杜氏・山田徹さんと高橋敬治さんだ。塩竈市にある本社蔵は山田さんが統括し、主に吟醸酒や数量限定商品などを製造する。東松島市にある矢本蔵は高橋さんが統括し、ボリュームゾーンの定番商品や季節商品の製造を担う。
今宵は、行きつけの居酒屋『花宴』へ。
まずは1973年からのロングセラーの純米吟醸酒「浦霞禅」で乾杯だ。ふたりとも無意識に、利き酒をする時のように口をすぼめてチュルチュルとやってしまい、顔を見合わせて笑った。
塩竈は魚介の宝庫。カキ、ホヤ、ミズダコ、ソイ……名物は枚挙にいとまがない。穴子の天ぷらをサクリと頬張り、浦霞禅をキュッと。サンマの塩焼きの身をハラワタごと口に入れ、純米酒「浦霞」を合わせて、ムフッとうれしいため息を漏らす。蔵の仲間と飲む時は数種の浦霞を同時に、思い思いに酌む。
塩竈ならではの肴と言えば、船上で冷凍されず生のまま水揚げされるマグロだ。中でも秋口からのメバチマグロの一級品は“三陸塩竈ひがしもの”として珍重される。
「マグロの上品な酸味とNo.12のキリッとした酸が響き合って旨いなあ」と山田さんが唸った。
No.12とは、佐浦で採取・分離され日本醸造協会に登録された「きょうかい12号酵母」を使用した浦霞。爽やかな香りと心地よい酸味、後味のキレのよさが特徴だ。
「この前、No.12にはこれだろうと、グラタンを作って合わせてみたんだけど、バッチリ合ったね。No.12がグラタンの濃厚な味を受け止めて、かつ酸で切ってくれるから後味がいい」と高橋さん。
海苔の名産地である七ヶ浜町出身の山田さんは、「海苔の天ぷらもいいよ」と晩酌情報をお返しする。さらに、「海苔と言えばポテトチップのり塩味。いくらでも飲める最強の肴」と続けると、「純米のロックが合いそうだ!」と話は尽きない。
コンビニで手に入る浦霞とポテチのり塩味。「肩肘張らずに飲んでほしい」というふたりの思いを胸に、検証してみたい。










