山形県庄内町にあるアトリエで、玄米を焙煎して作られているカフェインゼロの飲み物「玄米デカフェ」。世界的な拠点となる「庄内ロースタリー」を山形県庄内町に設立するため、かつて町の水を送り出していた上水場跡地をリノベーションする。このプロジェクトの第一歩として、クラウドファンディングを2026年1月28日から開始した。
コーヒーが贅沢品になる可能性、広がる代替コーヒー市場
「コーヒー2050年問題」をご存知だろうか。地球温暖化をはじめとする気候変動の影響により、2050年までにコーヒー豆の栽培適地が現在の50%まで減少してしまうと予測されている危機のこと。毎日当たり前のように飲んでいるコーヒーが、将来は高価な贅沢品になってしまう、あるいは手に入らなくなるかもしれないという深刻な問題だ。
その対策のひとつとして注目されているのが、これまではカフェインを避けたい人向けという文脈が強かった、代替コーヒー。大麦やチコリ、タンポポの根を原料にしたものが有名だが、最近ではデーツやヒマワリの種から作られるシアトル発の「アトモコーヒー」、大豆パルプや古いパンから作られるシンガポール発の「プリファー・コーヒー」などが誕生している。
「つや姫」「あきたこまち」…米のシングルオリジンを楽しむ
日本では、1980年代頃から玄米を焙煎して「玄米コーヒー」が作られてきた。中でも、株式会社MNHが独自の焙煎方法を使って、2020年から製作・販売しているのが「玄米デカフェ」だ。「玄米デカフェ」は、玄米だけをじっくりと時間をかけて焙煎し、コーヒーと同じ道具・淹れ方で楽しむ。見た目はコーヒーそっくりだが、一口飲むと、焙煎による香ばしい苦味の中に、米特有のほのかな甘みが広がり、後味は驚くほど軽やかでさっぱりとしている。カフェインを一切含んでいないので、誰でも安心して味わえるのが嬉しい。
米の銘柄によって味が変わり、香り・酸味・コクが調和し、マイルドでバランスの取れた飽きのこない味わいの山形県産「つや姫」や、米本来の甘さが際立ち、しっかりとした香りが広がる秋田県産「あきたこまち」、炭焼きを思わせるような香ばしさと酸味の中に苦味もある大人な味わいの大分県産「にこまる」など、コーヒーのように産地や銘柄を選ぶ楽しさがある。
米の品種ごとの個性を“食べる”のではなく、“飲む”ことで味わえる新しい形だ。これは、米の消費が減り続ける日本の稲作農家に新たな光を当てることになり、MNHは、「数千年にわたって築かれた日本の景観と文化をそのまま次世代へ引き継ぐプロジェクト」と位置付けている。




