「間に合った気がする」—星野道夫さんの言葉が伝えるもの
今年2026年は、写真と文章を通じてアラスカの野生動物や自然、人々の暮らしを伝え続けた写真家・星野道夫さんの没後30年にあたる。
今回のイベントでは、ナレーターであり声優でもある磯部弘さんがスペシャルゲストとして登場。磯部さんは、星野さんの写真と物語を通じて地球の自然の美しさを伝える公演を10年にわたって日本各地で届けてきていて、会場で星野さんの体験をもとにした朗読作品を披露した。
印象的だったのは「間に合った気がする」というフレーズだ。幼い頃から、かつてのアメリカン・バッファローと先住民の暮らしのような地球や自然の悠久のダイナミズムへの憧れと、それらがすでに手が届かない存在となっている喪失感を同時に抱え続けていた星野さんが、アラスカでカリブー(トナカイ)の大移動についに遭遇できた瞬間に覚えた感覚だという。奇跡のような光景を目の前にして、胸の奥からこみ上げてきた言葉。
星野さんはこんなことも語っていたそうだ。「訪れることのない遠い自然も、ただそこにあるという意識を持つだけで、想像力という豊かさを与えてくれる」「そんな遠い自然の大切さがきっとある」と。物理的には近いけれど、心象としてははるか遠くにあるアラスカ。今回のイベントはその心理的な距離を少しだけ縮めてくれたような気がする。


























