能登半島地震のボランティアに参加
――今回の番外編には、児島が働く金沢の近くで起きた、北陸の被災地のお話も出てきますね。東京からやってきた青年と児島が一緒にボランティアをして、炊き出しもするという。
元日に起きた北陸の地震で、SNSで「ボランティアは迷惑だから行くな」というコメントがありました。もちろん、行ってはいけない時期もあるし、迷惑行為はダメですが、ボランティア自体は悪いとは思っていなかったので、ショックを受けたんです。だけど、よく考えたら俺自身、被災地のボランティア、行ったことがないな、と。
――過去に一度も?
はい。恥ずかしながら、最初はいったいどうやって参加するのかも知りませんでした。それで人に聞いたりしているうちに、被災地ボランティアを受け付ける専門サイトがすでに開設されていることを知ったんです。
で、まずここに登録して……服装はこんなかんじで……と。中年になって初めて被災地でのボランティアに行ってみることにしました。
――現地ではどうでしたか?
行く前はめちゃくちゃ緊張していたし、徹夜して描いた原稿を編集部に送った後、手に付いたインクを洗う時間もなく、金沢行きの最終便の新幹線に飛び乗ったくらいドタバタだったのですが、本当に実際に行ってみてよかったです。
どんな様子だったかはぜひ漫画を読んでほしいのですが、被災地の方は「助かった」「また来てほしい」と喜んでくださるし、ボランティア仲間は皆、気のいい人たちで今も仲良くしています。児島のようにとてもいい人なんですが、ちょっとクセのあるおじさんもいて、彼との雑談は少しですがストーリーに反映させました。
――実話が元になっているんですね。
そうです。何よりも感動したのは、ボランティアの宿泊所となる体育館に、地元の能登高校書道部のみなさんが書いた「恩送り」という巨大な書道の作品が掲げられていたことです。すごくエネルギーがあるというか……あんなの見たら、おじさん、涙でちゃうよ(笑)。おかげで後日、またボランティアに行くことになりました。
――ひとりの“ボランティアおじさん” を再び、能登に向かわせる力強い作品だったのですね。後編では番外編に込めた想いなどをお聞きします。
「寿司職人『児島 渡』~寿エンパイア番外編~」小学館
https://shogakukan-comic.jp/book?isbn=9784098545445
取材/白石あづさ






