川底を掘ったら湧き出す“野性の湯”
切明温泉といえば、 やっぱり思い浮かぶのは自分で掘る野天風呂。
川原に湧き出す熱い湯を見つけて、良さそうな場所にスコップを入れる。なんだか宝探しでもしている気分でワクワクしてくる。熱すぎたら、川の水とブレンドして、ちょうどいい温度に調節する。
水着で川原の露天風呂に浸かっている人もいれば、服のまま足湯を楽しんでいる人もいる。私も、ちょうどいい高さの岩を見つけて腰を下ろし、足を湯に浸した。
川のせせらぎが絶えず耳に届き、目の前は雄大なV字峡谷。風が通り抜けるたびに、体の奥に溜まっていた日常のざわつきが洗い流されていく。足元からじんわりと伝わってくる温泉の熱が、心まで元気にしてくれるような気がした。
切明温泉の宿は「雪あかり」「切明リバーサイドハウス」「雄川閣」の3軒。雪深い場所だけれど、どの宿も通年で営業しているのはありがたい。栄村が所有していた「雄川閣」は、いま民間への譲渡が進んでいる最中で、現在は休業中。再開のメドはまだ立っていないという。
宿泊するなら、宿でスコップを借りられるので身軽に出かけられる。日帰りなら、自分でスコップを持っていくといい。そして、この野天風呂に入るときは“必ず水着着用”というのが村のルール。露天風呂気分で裸で入るのはNGだ。
とはいえ、脱衣所があるわけではないので、宿や車の中で着替えてから向かうのがスムーズだろう。
観光協会のホームページや現地の看板を見ると、「河原の湯」「河原の温泉」「川原の湯」と表記はバラバラなので決まった名称はないのかもしれない。人工的に整えられた露天風呂とは全く別物で、ここでは自然に身を委ねているだけで、体の奥から力が湧いてくるような気がする。ただ川原に座り、ぼーっと流れを眺めているだけなのに、心が落ち着いてくる。
ここは自然のままの川原だから、入るのにお金もかからないし、決まった時間もない。ただし、増水時は危険なので立ち入り禁止。自然と遊ぶ場所だからこそ、ルールを守りながら楽しみたい。足を運ぶべき価値ある温泉だと思う。





