9月末、広島県主催の視察旅行(レポート1、2、3)に合わせて訪れた広島市。市内中心部で見つけた『広島アンデルセン』は、パン好き、パン飲み好きにとっては天国のような場所でした。1階には焼きたてのパンがずらりと並び、ワインやデリ、スイーツのコーナーまであるという充実ぶり。全国にベーカリーを展開するアンデルセンの旗艦店にして、その発祥の地・広島の“本丸”です。
銀行だった建物から始まった、半世紀超えのパンの殿堂
中国地方で最大規模の商店街とされる「本通商店街」。その一角で営業しているのが『広島アンデルセン』ですが、その歴史はちょっと特別です。
建物の始まりは1925年、三井銀行広島支店として建てられた洋館でした。1945年8月、合併で帝国銀行広島支店となっていたこの建物は、爆心地からわずか360mの地点で被爆。爆風で大破したうえ火災で全焼し、西側の壁は大半が崩れ落ちたそう。
それでも1950年に改修されて銀行として復活、1967年には後にアンデルセングループへと成長するタカキベーカリーが買い取ります。創業者夫妻がヨーロッパを訪れ、ローマの菓子店が歴史ある建物で新しい商売をしている姿に感動したことから維持を決め、ベーカリーとレストランを兼ねた広島アンデルセンが誕生しました。
その後、3回の改装を経るも老朽化による建て替えが決定。4年半の建て替え工事期間を経て、2020年8月に新店舗が開業しました。その際、旧建物の東側に残っていた被爆壁のうち約50㎡を切り出して新しい建物に移設。パンやワインからスイーツ、花まで並ぶ華やかな売り場の背後に、広島の街の記憶が受け継がれているわけです。2022年には、景観に貢献する建物などを表彰する「ひろしま街づくりデザイン賞」で大賞にも選ばれました。

















