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JR九州の路線を走るスイーツトレイン「或る列車(あるれっしゃ)」が走り始めたのは2015年の夏。今年で5周年を迎えます。 それを記念して、デビュー当時のメニューを復刻して7月~8月のツアーで提供されています。 今回は、デビュー直前の試乗会のときのメニューと車内のツアーの様子です。

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スイーツトレイン或る列車 5周年!/2015年

JR九州の路線を走るスイーツトレイン「或る列車(あるれっしゃ)」が走り始めたのは2015年の夏。
今年で5周年を迎えます。
それを記念して、デビュー当時のメニューを復刻して7月~8月のツアーで提供されていました。
今回は、デビュー直前の試乗会のときのメニューと車内のツアーの様子です。
「或る列車の試乗会があるのですが乗りますか? 7月31日に大分からです」
電話をいただいたのは、この年の7月28日の午後のこと。
「もちろん、乗ります!」と返事をして電話を切ったあとで考え込んでしまいました。
電話を受けたのは北海道旭川です。
旭川~大分は直線距離でも1500Km。
結局、フェリー2本を乗り継いで、大分に着いたのは試乗会出発2時間前、船が遅れればアウト。
ひやひやものでした。

大分駅に到着したのは出発2時間前。
ぎりぎり!(2015年撮影)

「或る列車」という、ちょっと不思議な名前の列車ですが、JR九州では「100年の時を超えて蘇る、幻の豪華列車」と銘打っています。
JR九州の前身である日本国有鉄道、さらに前身の九州鉄道(私鉄)が明治39年(1906年)に、アメリカの鉄道会社に当時日本で最も豪華な客車を発注しました。
その後車両は納品されたものの、九州鉄道が国有化されたために運転の機会がなかったという幻の列車でした。
そして2015年。
この豪華列車、通称「或る列車」をイメージして作られた、現代版の「或る列車」が運転を開始したのです。
大分のホームに現れた車両、形状は通常のディーゼルカーですが、エクステリアはまったくの別物、金色の塗装はまばゆく光ります。

金色に輝く「或る列車」(2015年撮影)

ホームには赤じゅうたんが敷かれて、クルーの皆さんのお出迎え。
豪華です。

出発駅ホームでは
赤じゅうたんが敷かれる(2015年撮影)

そして車内に入ると、木の美しさを強調するようなインテリア。
大人の空間に踏み入れたような気にさせてくれます。
1号車はオープンレイアウトのテーブル、2号車はセミコンパートメントスタイルです。
よく見ると、1号車はやや明るめの木を使い、2号車はシックな色合いの木を使っています。
このへんのこだわりも、ものすごいものがありました。
通路の部分などは木組みの格子、これは九州の豪華寝台列車ななつ星IN九州と同じ作りです(両車両ともデザイン・設計が、水戸岡鋭治氏)。

1号車はオープンなレイアウト(2015年撮影)

2号車はセミコンパートメントで
シックな色合い(2015年撮影)

通路の格子も美しく、
列車の中とは思えない(2015年撮影)

サービスカウンターと
クルーの皆さん(2015年撮影)

列車に着けられたエンブレムにある「SWEET TRAIN」の文字。
そう、この列車はスイーツを心ゆくまで楽しむ列車です。

スイーツトレインの
エンブレム(2015年撮影)

メニューの演出は東京・南青山のレストラン「NARISAWA」のオーナーシェフ成澤由浩氏です。
九州の食材にこだわって作られた、軽食の小箱とスイーツ3品、そしてお茶菓子のコースです。
器も九州の職人がこの列車のために作ったものだそうです。
盛り付けもしっかり車内で行っています。

車内で料理の
セッティングを行う(2015年撮影)

2015年の試乗会(列車運行開始時)のメニューです。
<或る大地と海の恵み>
大分県豊後牛と鹿児島県放牧豚のメンチカツサンド
大分県冠地鶏と夏野菜のトマト煮込み
大分県関アジと熊本県車海老のサラダ

最初に出てくる小箱料理(2015年撮影)

<歓喜の香り>
大分県サフランとムール貝のスープ

スープの器も九州の職人さんが
作ったもの(2015年撮影)

<楽園のカクテル>
福岡県白桃と熊本県ヨーグルトのカクテル

夏の季節にはぴったりの清涼感(2015年撮影)

<灼熱のさとうきび畑>
鹿児島県産黒糖と、バナナ、月桃とカボスの香り

南国らしさが前面に出たスイーツ(2015年撮影)

<トロピカルバケーション>
宮崎県マンゴー、ライチ、パッション、ドラゴンフルーツ、パイナップルのビニャコラーダ

次々と供されるスイーツの味の変化が楽しい(2015年撮影)

<祝典のフィナーレ>
大分県 薔薇&チョコレート・大分県甘夏&キャラメル・福岡県 抹茶&ホワイトチョコレート

お茶菓子、その姿と味でまだおいしく食べられる(2015年撮影)

ドリンクはアルコールを含めてフリードリンクで、ワイン、お茶、ジュースや水など、珈琲以外はすべて九州産。
選ぶのを悩むほどです。

ドリンクのジュースも
九州産(2015年撮影)

この時のワインは
宮崎県の都濃ワイン(2015年撮影)

ワイングラスも
エンブレム入り(2015年撮影)

九州の食材を見事な料理で味わい尽くす或る列車のツアーです。
この時のコースは、大分駅から久大本線で日田駅まででした。
(2020年8月現在、久大本線の一部は水害のために運転休止中)

久大本線のコースは山間の景色を楽しめるコース(2015年撮影)

久大本線コースは由布院駅付近から
由布岳を望むことができる(2015年撮影)

季節などによっては、長崎を中心としたルートで海の景色を楽しむツアーのときもあります。
その時々のルートやメニューは、JR九州のホームページをご確認ください。

大村線を走る或る列車、海を楽しむルート(2015年撮影)

日常と違う美しい空間で、美しい風景を楽しんで、心ゆくまで味わった2時間ほどの旅、本当に満足できる旅でした。
終着駅の日田駅で待っていたのは……この日の日田の最高気温が37.2℃。
3日前までいた旭川の最低気温は22.1℃。
まあ別世界でした。
駅前で見た日差しの風景は、まぶしく陽炎に揺れて、ほとんど歪んで見えるほど。
それも含めて、夢のような体験でした。

佐々倉実(ささくら みのる)
 鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”、初めて鉄道写真を撮ったのが小学生のころ、なんやかんやで約50年経ってしまいました。鉄道カメラマンなのに撮影の8割はクルマで移動、列車に乗ってしまうと、走るシーンを撮影しにくいので、いたしかたありません。そんなワケで年間のかなりの期間をクルマで生活しています。趣味は料理と酒! ヨメには申し訳ないのですが、日々食べたいものを作っています。
 鉄道旅と食の話、最新の話題から昔の話まで、いろいろとお付き合いください。
 ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。なにとぞご容赦ください。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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