関西で流行っているのは東京の下町スタイルなのか?
最近大阪でも出店が目立ってきた「焼きとん」。元々西は牛、東は豚と言われるように、関西人にとって豚食文化は縁のないように思われていた。とすると、このブームの源は何だろう?
東京下町のテイストが関西に馴染んだのか、はたまた実は抵抗があるのだろうか? そんな関西焼きとん事情を知るべく、人気店数店を実地調査した。
まずは「東京流かどうか」が大きな分岐点に。例えば天満の『もつ焼き えるびす』は出店にあたり東京の焼きとんを分析。ドリンクもキンミヤ焼酎を使うホッピーやバイスなどを揃え、東京流の焼きとんを流行らせるのが狙いだ。
また、心斎橋の『のんき』は東京都新宿区に本店を構える人気店。
以前から大阪で好評の天満の『天満食肉センター』も、皿に和がらしが盛られており、しっかりした東京流なのが見てとれる。
一方で、西中島南方の『豚中島南方』や京橋の『チチカブ』は、それらの店が入ってくる以前からある。東京を意識することなく、自由度の高さで人気を集めており、個性的な部分では、関西らしさを感じる店といえるかもしれない。
チチカブ:写真左上の「炙りホルモン」(480円)のほか、「もつリゾット」(680円)など、イタリ
アンでの修業経験を生かしたメニューが充実している。
店視点での分類が済んだところで、じゃあお客さんはどうかと言えば、各店とも大繁盛。ウェルカム焼きとんの空気を感じた。おそらく、その理由はシンプルなものだ。大阪はくいだおれの街。多種多様な店が軒を連ねる天満界隈が人気なことでも知られるように、安くて旨い店ならどんな業態でも受け入れるという、食文化には寛容な気質がある。焼きとんは、味はもちろん、その下町感や手軽さから、ガッチリと関西人の心にフィットしたのだ。
今後も続々と増えそうだが、そもそも焼きとんは焼鳥の豚肉版のようなもの。串モノに馴染みがある関西人にとっては、焼きとん=東京の文化と意識しないのが実情ではなかろうか。意識せず受け入れ、以前からあったかのように溶け込む。東京流の下町酒場や焼きとんがブームになるのは、もはや必然だといえそうだ。
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