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日高本線・秋の名物ししゃも寿司/2007年~2019年

日高本線は北海道の苫小牧駅から襟裳岬に向かって太平洋沿岸を走り、終点の様似駅まで走る路線です。
その名の通り、日高地方を走るローカル線。
苫小牧駅から鵡川駅の間は原野を走る区間が多く、鵡川駅から先は海岸線を走る区間が多くて海の車窓が魅力的な路線です。

太平洋を望む日高本線(2007年撮影:現在運転休止)

列車に乗ってみても、とにかく海が近く感じられます。
太平洋の外海に面しているので、穏やかな海の姿、冬の荒々しい姿などを見ることができます。

窓いっぱいの太平洋が楽しめる(2007年撮影:現在運転休止)

高い山と海の狭間に敷かれた日高本線(2007年撮影:現在運転休止)

車窓の魅力は海だけではありません。
沿線の新冠、静内は競走馬の産地としても知られています。
このあたりでは、緑の牧草地にサラブレッドがゆったりと歩く姿も見られます。

窓からはサラブレットも見られる(2007年撮影:現在運転休止)

車両には、馬と日高山脈を
デザインしたマークも(2007年撮影)

新冠駅は、
どこか牧場のイメージ
(2007年撮影:現在運転休止)

窓いっぱいに、キラキラと光る海を見ることができて、本当に好きな路線でした。
しかし、風光明媚な地形が災いして、2015年、2016年と続けて高波で線路が破損。
地元のとの話し合いで、日高本線の一部については、バスに転換するという話になっています。
実に残念です。

このあたりは、2019年の高波でも被災(2007年撮影)

2019年現在の運転区間は、苫小牧駅~鵡川駅です。
鵡川駅からは代行バスに乗り換えるようになっています。

現在は、鵡川駅近くで線路が止まっている(2019年撮影)

立派な鵡川駅が
現在の列車終点(2019年撮影)

鵡川駅からは代行バスに乗り換えて
旅ができる(2019年撮影)

鵡川駅から運転休止区間をたどるとすぐに、鵡川を渡る鉄橋があります。

鵡川駅からすぐのところにある日高本線鵡川橋梁(2007年撮影:現在運転休止)

これが地名にもなっている鵡川を渡る鉄橋です。
「日高地方」「鵡川」「秋」といえば、思い出すのがシシャモです。
スーパーマーケットで売っている輸入のカラフトシシャモと違う種類の国産シシャモ(本シシャモとして売っている店もあります)、秋になれば、シシャモ寿司が食べられるのがこの鵡川です。
今回の撮影でも、秋の北海道といったら思い出したのがこれです。
札幌から帯広に移動だったので、通常ならば道東道で一気に移動するところを、日高道>鵡川>日勝峠>帯広にルート変更して訪れました。
訪れたのは、鵡川駅近くにある大野商店。
午前中にもかかわらず、駐車場はけっこういっぱい。
店内もいっぱいで、多少待ち時間もありました。
予定では、ここで生干しのシシャモを買って夜になって調理をするつもりだったのですが、店の前にあるメニューを見て予定を変更。
店で食べることにしました。

鵡川駅近くの大野商店(2019年撮影)

この日は10月5日だったのですが、シシャモの解禁は10月1日。
加工に時間がかかるために、今年のシシャモは10月3日から店に出たようです。
タイミングばっちり、ラッキーです。
このお店では、店頭に干してあるシシャモを選んでかごに入れ、店内で精算してホットプレートで焼きながら食べることができます。

店頭に並ぶ
生干しのシシャモ(2019年撮影)

この日は、オス5匹&メス5匹のセットを選びました。

オス5匹、
メス5匹のセット(2019年撮影)

ホットプレートに並べて焼くことしばし、良い香りがしてきます。
いい具合に色が付けば食べごろです。
まずは、タマゴの入ったメスから。
ほろほろとしたタマゴの食感がたまりません。
カラフトシシャモのさっぱりとした味もすごく好きですが、こちらのシシャモは、もっと魚の味が濃いです。
次に食べたオスは、より魚の味が強くて、好みとしてはオスのほうです。

ホットプレートに並べて(2019年)

しばらく待つと、
なんとも良い香りが(2019年撮影)

手前がオス、奥がメス(2019年撮影)

まだまだ行きます!
次はシシャモフライ、このシシャモは塩味がやや強いので、ソースなしでOK。
焼いたものよりも身がふっくらとして、これまたおいしいです。

シシャモフライもおいしい(2019年撮影)

このフライが入った、シシャモパン。
タルタルソースとの相性が抜群です。

シシャモパン(2019年撮影)

さらに、シシャモ漬けにシシャモ汁。
どちらも魚の良い香りが楽しめました。

シシャモ汁(2019年撮影)

シシャモ漬け(2019年撮影)

そして『日高シシャモづくし』の極めつきがシシャモ寿司!

じつは、移動ルートを変更してでも食べたかったのがシシャモ寿司です。
シシャモの漁期にだけ鵡川で出る寿司で、ほかの土地ではなかなか食べられません。
シシャモの身はワサビが透けて見えるほど身が透明で、ほのかなピンク色です。
まずは、そのまま。
ぐっと締まった魚の味。
いやいやこれが食べたかった。
ほのかなすし飯の温かさで、やさしい脂の味がたちます。
以前、鵡川でパックのものを買って夜食べたことがありますが、断然握りたてです。

次は醤油をつけて食べます。
もちろん醤油にも負けない味で(ノンアルコール)ビールが進みます。
最後はお店のおススメで、抹茶塩。
ふわっとした抹茶の香りともよく合います。

シシャモ寿司1人前(2019年撮影)

透明感のある身が
美しい(2019年撮影)

抹茶塩でいただくのも、
なかなか(2019年撮影)

いやいや満足。
シシャモを堪能しました。
シシャモの漁期は、10月と11月の2か月間だけ。
鵡川駅までは現在でも列車で行くことができます。

この季節に、ぜひローカル線で食べに行ってください。

佐々倉実(ささくら みのる)
 鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”、初めて鉄道写真を撮ったのが小学生のころ、なんやかんやで約50年経ってしまいました。鉄道カメラマンなのに撮影の8割はクルマで移動、列車に乗ってしまうと、走るシーンを撮影しにくいので、いたしかたありません。そんなワケで年間のかなりの期間をクルマで生活しています。趣味は料理と酒! ヨメには申し訳ないのですが、日々食べたいものを作っています。
 鉄道旅と食の話、最新の話題から昔の話まで、いろいろとお付き合いください。
 ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。なにとぞご容赦ください。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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