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撮り鉄の「食」の思い出(64)ラグビーW杯 優勝記念の特別編!? 南アフリカのロボス/2007年

いやぁラグビーW杯2019日本大会、面白かったですねぇ。
日本戦はもちろん、ほかの国の試合もできるだけ見せてもらい、楽しみました。
ちょうど、この期間は長期撮影が多かったので、車中泊をするのに、テレビの電波状況を見ながら場所を決める日々でした。

三陸鉄道開業のころに見に行った釜石。
鵜住居復興スタジアム(2019年撮影)

それにしても、すごかったのが南アフリカ。
もう憎くったらしいほどの強さに、見入ってしまいした。
で、思い出したのが南アフリカの鉄道。
10年以上前に乗ったプレトリアからケープタウンまでを走る豪華寝台列車ロボスレイルです。
同じルートを走る寝台列車ブルートレインが1泊2日で走るのに対して、ロボスレイルは2泊3日。
途中に観光も含めてゆったりと走る列車です。

美しいプレトリアの市街地(2007年撮影)

旅の始まりは南アフリカ共和国の行政を司る首都プレトリア。
町の中心部はきれいに整備された美しい街です。
中心部から、やや離れた場所にあるロボスレイルのプライベート駅「キャピタルパーク駅」から出発します。
ロボスレイルの名前は、鉄道ファンのオーナーのロハン・フォス氏の名前からとっています。
この鉄道がすごいのは、ロハン・フォス氏が集めた車両を美しく、クラシカルな修復を行い走らせているところです。
(南アフリカでは線路の所有と列車の運営が異なる“上下分離方式”なので、運営だけを行っている)
まさに鉄道ファンの最高峰ですね。

ロボスレイルのプライベート駅が始発駅(2007年撮影)

プライベート駅のラウンジで、ウエルカムドリンクをいただきながら待つことしばし。
ホームに列車がやってきます。
なんとSLが牽引です。
短い区間ですが、この駅からプレトリア駅までの区間は、煙をがんがん上げながら走りました。
客車もグリーンに白い帯で品格があります。
なによりすごいのが、13両編成の乗客定員が28名、1両2部屋のロイヤル、ダイニングカー、ロビーカーをはじめ、荷物用車両からクリーニング専用車まで連結しています。
スタッフは乗客数の倍以上乗務しています。
もう、この段階で圧倒されていました。

キャピタルパーク駅からはSLが牽引(2007年撮影)

客車はグリーンが基調で品格がある(2007年撮影)

本線上は電気機関車が牽引する(2007年撮影)

乗車した部屋は、1両に5部屋と、この鉄道の中では小さめですが、それでも十分。
二段ベットとトイレ、シャワー付きです。
窓も大きく開いて外の空気が吸えるのも素晴らしい。
引き出しの中には、窓から顔を出すときに使うゴーグルまであるのにびっくりしました。

乗車した客室(2007年撮影)

室内にはウエルカムドリンクも(2007年撮影)

1両に2部屋のロイヤルスイートも撮影させていただきました。
広いベットにソファー、バス……シックな木調の部屋です。
この原稿を書いているときに、同じツアーでロイヤルスイート料金を見たのですが、価格は1名でZAR45,000,00……。
2名でだいたい120万円くらいです。
もう、なんと言っていいやら(笑)。

ロイヤルスイートの室内。
もう別世界(2007年撮影)

そして、豪華寝台列車のメインイベントといえばディナーです。
レストランカーも時代を感じる造りになっていて素晴らしい!
たまらない雰囲気です。
座席は食事のたびにトレインマスターが指定します。
4人テーブルが主で、相席になる場合も多く、話が合いそうな人など、それぞれをマッチングしています。
ディナーはコース料理、意外にもシンプルな皿なのですが、素材がすばらしく、本当においしい料理でした。

ディナー時のレストランカー(2007年撮影)

ディナー料理の数々。素材がおいしい(2007年撮影)

ディナーが終われば、展望車付きのラウンジカーで落ち着きます。
ドリンクはすべてフリードリンク。
さすがですが、撮影のため飲みすぎ注意でした。

夜のラウンジカーも良い雰囲気(2007年撮影)

翌朝の朝食はビュッフェスタイルです。
たっぷりのサラダとフルーツ、それにタマゴ料理はオーダーにこたえてくれます。
豪華列車といっても華美になっていない、それでいて、やっぱりおいしい料理でした。

夜明けの展望車。朝日が車内に注ぎ込む(2007年撮影)

朝のレストランカー(2007年撮影)

朝食も意外とシンプル(2007年撮影)

2日目は、途中で観光用の停車があります。
昼近くなって右手には大きな湖が見えてきます。
湖面には、ぽつぽつとピンク色の生き物がいるのがわかります。
そして車窓に現れたピンクのかたまり、フラミンゴの群れです。
カメラのファインダー越しに見える姿は、スペクタルで、感動ものの風景でした。
湖を過ぎると間もなく停車駅のキンバリー、ダイアモンド鉱山で有名な町です。
列車の出発時には、乗客の新婚さんがダイヤの指輪を買っているので、しばらく発車を待つくらい。
もちろん誰も気にしません。
やっぱり鉄道の旅は、時刻の感覚が違いますね。

キンバリー近くの車窓は
フラミンゴの群れ(2007年撮影)

2泊3日の列車旅も、あっという間に過ぎて行きます。
終着は、アフリカ大陸南端の町ケープタウン。
海と街の風景が美しい町です。
まあ、到着時に取材して回ったお店で食べたカキにHIT!(同行者はぜんぜん平気なので、体調と合わなかったかも)
翌日のワインランド取材は、たいへんなことに……。
そのへんは、いずれ機会があれば書きますね。

終着の町ケープタウン(2007年撮影)

ケープタウン近くで見たケープペンギン(2007年撮影)

この岬の少し先が喜望峰(2007年撮影)

列車の影と地平線(2007年撮影)

地平線を見続けた2泊3日の旅。
車窓もスタッフも乗客も、まるで映画の中のような風景でした。
南アフリカは、飛行機でほぼまる一日の行程。
なんとも遠い場所ですが、いつかまた行ってみたいと思っています。
そのときはもちろんラグビーも見たいです。

佐々倉実(ささくら みのる)
 鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”、初めて鉄道写真を撮ったのが小学生のころ、なんやかんやで約50年経ってしまいました。鉄道カメラマンなのに撮影の8割はクルマで移動、列車に乗ってしまうと、走るシーンを撮影しにくいので、いたしかたありません。そんなワケで年間のかなりの期間をクルマで生活しています。趣味は料理と酒! ヨメには申し訳ないのですが、日々食べたいものを作っています。
 鉄道旅と食の話、最新の話題から昔の話まで、いろいろとお付き合いください。
 ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。なにとぞご容赦ください。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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