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サバジェンヌ的に、なんだか足りてないなあ、と思うジャンルがあった。 それは「サバチャイニーズ」。 中国ではサバを食べるにも関わらず……残念だなあと思っていたジェンヌのもとに、ビッグニュースが届いた。 「『サバの焼売』を提供している店があるらしい」 キャー!! 喜び勇んで向かったのは「Tokyo焼売マニア」。 なんと焼売の専門店だ。

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日本で唯一! 新橋「Tokyo焼売マニア」の 絶品「サバカレー焼売」

ここ数年、サバブームを受けてじつに多彩なサバ料理が登場した。
でもサバジェンヌ的に、なんだか足りてないなあ……と思うジャンルがあった。
それは「サバチャイニーズ」。
中国ではサバを食べるにも関わらず、なぜか中華料理のメニューであまりお目にかかる機会がない。
残念だなあと思いながら、台所でサバをオイスターソースで炒めたり、焼いたサバに黒酢あんをかけたりしていたジェンヌのもとに、ビッグニュースが届いた。
「『サバの焼売』を提供している店があるらしい」
キャー!!
喜び勇んで向かったのは、今年2月、新橋にオープンした「Tokyo焼売マニア」。
なんと焼売の専門店だ。
店主の中橋薫樹(まさき)さんは、もちろん大の焼売好き。
中華やアジアン料理の名店で腕を振るってきた中橋さんが、自分のお店を出すにあたって選んだのは「焼売」だった。

「Tokyo焼売マニア」店主の中橋薫樹さん。
「青山糖朝」「ジムトンプソンテーブル銀座」
「ジョーズ シャンハイ ニューヨーク」などで
腕を振るってきた。

焼売以外にもこだわりのアジアンメニューがそろう。
「よだれ鶏」「第三の酢豚」
「たぶん新橋でいちばん美味しい担々麺」も
大人気のメニュー。

「子どものころからとにかく焼売が好きで。
中華料理屋に行くと、必ず頼んでたんですよね」と中橋さん。
「餃子」ではなくて、キッパリ「焼売」一徹だったらしい。
「でも焼売って、肉焼売かエビ焼売くらいですよね。
町中華に行っても、せいぜいそのふたつくらいしかない。
もっといろんな焼売が食べたいなあと思ってたんです」
そして中橋さんは、焼売の魅力についてこう語る。
「焼売は自由です」
そもそも「焼売の定義」とは以下らしい。
「豚ひき肉に野菜を主体にし、煉り合せた餡を中身にして、薄い小麦粉の皮で円柱状にして蒸し上げる。
餡も豚肉だけではなく、牛肉や魚介などを使用し、包む皮も多種にわたる」
つまり中身も、皮も「なんでもいい」。
「ね、なんか、自由じゃないですか!?」と目を輝かせる中橋さん。
焼売 is フリーダム!!!
というわけで、「Tokyo焼売マニア」には、「自由すぎる」多彩な焼売がそろう。
ただし、中橋さんがひとつひとつの焼売にかけるこだわりはハンパない。

中橋さんいわく、焼売を美味しく作るためには
「とにかく練って練ってねること」がポイントだそう。
そして「焼売は蒸したてを味わうのがいちばんです」。

なにせ種類ごとに、すべて餡は別モノ。
皮も餡に合わせて変更。
「ベースの餡に、異なる具材をトッピング」という安易な代物ではない。
お店の看板メニューである「マニアな焼売」は蒸し上がりが、柔らかく仕上がるように特注した皮で黒豚、ホタテ、長ネギ、しいたけ戻し汁、ゴマ油を加えて徹底的に練った餡を包んで蒸す。
「パクチー焼売」は、パクチーの根元をミキサーにかけたものと、葉と茎のみじん切りを混ぜ込む。
「チーズのイタリアン焼売」は、バジルとイタリアンパセリ、トマトを煮込んだソース、チーズを入れ、さらに皮は卵入り。

焼売4種盛り合わせ。
右上から時計回りに肉汁いっぱい、おつまみに上等!すぎる「マニアな焼売」、赤山椒・青山椒・一味唐辛子を組み合わせた爽快な辛さの「しびれ焼売」、ハーブ、トマトソース、とろけるチーズ、卵入りの皮の組み合わせがワインをよぶ「チーズのイタリアン焼売」、イカの旨みがぎゅっとつまった上品な味わいの「イカ焼売」

焼売は自由!!
なんと「焼売のクリーム煮」なるメニューも!
過去には月替わり焼売として
ヴィーガン焼売「ひよこ豆の焼売」も登場した。

もはや「高級ショコラ」を作っている「ショコラティエ」のような作業だ。
そんな「シュウマティエ」の中橋さんが焼売以外に熱愛しているものがある。
「サバ」だ。
とくに「サバ缶」が大好き。
これには理由がある。
「うちは、サバ缶をよく食べる家庭だったんです」と中橋さん。
とりわけ大好きだったのが、おじいちゃんがサバ缶で作ってくれた「茶めし」。
「中橋家オリジナルメニューなんですけど、これが美味しかったんですよ」
サバ水煮缶の身をフライパンに缶汁ごと入れ、じっくりと汁気がなくなるまで炒める。そこにほうじ茶を入れてさらに水気がなくなるまで炒める。
「これをごはんにのせて食べるんです。
ときにはお茶をかけてお茶漬けにしたりするんですけど、美味しいんですよ」
確かに美味しそうだ。
試してみよう!
さらに、大人になった中橋さんは縁あって、サバ愛を募らせることになる。
「福井の郷土料理店でアルバイトをしていたんです」
福井といえば「一大サバ王国」。
「まかないで、1尾まるごと串に刺して焼いた郷土料理『浜焼き鯖』が出てくるんですよ。
もう最高でしたね」とうっとりと当時を振り返る中橋さん。
Tokyo焼売マニアでは、月替わりの焼売も提供している。
「愛するサバを焼売にしてみよう」と思い立った中橋さん。
愛する焼売と愛するサバ。最高の「サバ焼売」を作るために試行錯誤を重ねること2週間。
ついに完成したのが「サバカレー焼売」。
サバ缶を使ったカレー風味の焼売だ。
「サバのよさを最大限に引き出した焼売になりました」と、胸を張る中橋さん。
使用するサバ缶は、ありとあらゆるものを試した結果、伊藤食品の「鯖水煮 美味しいさば」をセレクト。

サバファンにも大人気の
伊藤食品「鯖水煮 美味しいさば」を使用。

黒豚ひき肉にサバ缶の身と汁を入れ、玉ねぎのみじん切り、ショウガ、カレー粉、片栗粉を加えて徹底的に練り込む。
「サバには長ネギより、甘みのあるタマネギが合いますね」と中橋さん。

サバ缶は汁ごと投入。

しっとりやわらかに仕上げるために
とことん肉とサバを練り上げる。

餡の上には、さらにサバ缶を炒めたものをトッピング。
ここで登場するのがかの「おじいちゃんテクニック」だ。
フライパンにサバ缶の身と汁を入れ、カレー粉を加えてじっくり炒める。

フライパンにサバ缶を汁ごと入れて
じっくり炒める。

「塩は加えません。
汁ごと炒めることで、サバの旨みをぎゅっと閉じ込められるのでそれで充分です」と中橋さん。
冷蔵庫で冷ましたら大葉をプラスして、ベースとなる餡を皮でくるんだ上にのせて、せいろで蒸す。

焼売のビジュアルにもこだわる中橋さん。
サバカレー焼売のビジュアルは
「お灸」をイメージしたのだとか。

10分後、せいろを開けると湯気とともに、なんともいえないほど芳しいサバの香り!
史上初の「サバカレー焼売」!
ワクワクしながらかじると、ジュワッととろける肉汁とともに、サバの旨みが炸裂。
そして、追いかけるようにトッピングの炒めたサバが、じつに濃厚な「カレー風味のサバソース」として口の中でジワジワ広がる。
恐るべし「二段階焼売」!

サバカレー焼売。
サバの旨みがつまった餡と、濃厚な炒めサバ缶の二段重ね!

まるで皮の中でサバが回遊しているかのような、しっかりと「サバが主張」した焼売。
これはサバファンなら絶対に食べるべき!

やわらかな餡、やわらかな皮、
ほどよいカレー風味の焼売でビールが進む!

そして、ビールが止まらなくなること覚悟で(笑)。

■Tokyo焼売マニア
https://jinzaifactory.wixsite.com/website
※サバカレー焼売は、月替わり焼売として
2020年10月10日まで提供(以降も提供の可能性あり)

池田陽子(いけだ ようこ)
サバファンの集い「鯖ナイト」や、日本中のサバ好きが集まる「鯖サミット」などの活動を担う「全さば連(全日本さば連合会)」広報担当/サバジェンヌとして活躍。本業は薬膳アテンダント/食文化ジャーナリスト。著書に『ゆる薬膳。』(日本文芸社)、『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)、『春夏秋冬ゆる薬膳。』(扶桑社)、「ゆる薬膳。」はじめたらするっと5kgヤセました!(青春出版社)、『サバが好き!』(山と渓谷社)など。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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池田 陽子
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