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紅茶といえばインドやスリランカが世界的な主産地ですが、近年、日本の緑茶名産地でも紅茶の造り手が続々と誕生し、じわりと和紅茶が注目されています。もちろん京都でも和紅茶、生まれています。

宇治茶ブランドの最高峰・和束町で紅茶に出合う

宇治ブランドの茶葉、その約4割を生産する京都府南部の相楽郡和束町。古代の遺跡や古い地名が随所に残る自然豊かな山間の町は山の斜面に茶畑が広がり、京都府の文化的景観にも指定されているところ。

山間部の斜面に連なる茶の木の段々畑。斜面と平地では気候条件が違うため、同じ和束のお茶でも茶園によって味わいが異なる。
和束の茶畑を代表する風景、白栖・石寺の茶畑。茶畑は西から東に向かって順に暖かくなり、ここは早場で4月下旬には茶摘みが始まる。

この地で和束の茶葉を栽培する『京都和束紅茶』の杉本喜寿さんはお茶農家の三代目。

「もともとマツタケ採りをしていた山を戦後に祖父が切り開き、以来宇治茶の茶葉を生産してきました」

日本茶の場合、生産者が手掛けるのは製品になる前の「荒茶」の状態まで。それを宇治の茶問屋が買い取り、二次加工で製品に仕上げる仕組みです。

「今までは良い茶葉を育てれば生産者として生計が立てられましたが、年々厳しくなっていく実感があり、まずは安価に扱われる二番茶をなんとかしよう思ったのが紅茶づくりのきっかけです」

「京都和束紅茶」代表の杉本喜寿さん。「緑茶の味は肥料に左右されませんが、紅茶は土の味がダイレクトに現れるんです」

杉本さんが紅茶をつくり始めたのは2009年頃。すでに静岡の丸子紅茶や大分のきつき紅茶といった他地域に先人がおり、現地視察や自身の紅茶を見てもらいながら和束紅茶の品質をつくり上げていきます。

「緑茶はほぼオートメーションで荒茶に加工しますが、紅茶は手づくり。クラフト紅茶と名乗って、製品づくりの過程を楽しんでいます」

冬の間、茶樹は休眠状態になり葉の色も鈍い。1月頃から小さな新芽が出始め、初摘みのシーズンには青々と生い茂り美しい風景も楽しめる。
水分を飛ばした加工前の茶葉。このあと揉みこんで組織を壊す「揉捻(じゅうねん)」、発酵、乾燥の作業を経て紅茶ができあがる。

二番茶の加工から始まった紅茶づくりですが、現在は一番茶も紅茶に加工しています。

「和紅茶は雑味のないまろやかな味わいが特長。ファーストフラッシュは香り高い反面すっきりし過ぎているのでブレンドで調整しています。紅茶の製造はブレンダーでもあるんですよ」

自作の発酵機。茶葉の持つ香りや風味を損なわないよう、品種や出来、シーズンによって発酵の度合いを変えていく。

お茶の名産地である和束町の地名を背負った「和束紅茶」として、品種の違いを味わっていただくために、シングルオリジン(単一農園・単一品種)の生産にこだわります。

「自分で製品まで手掛けてよくわかったのは、誰がどこでつくったものなのかなど、お客様は食の安全を重視していること。ですから農薬・化学肥料不使用で栽培していますが、紅茶は土の味に左右されるので有機肥料もいろいろと試行錯誤しています」

緑茶品種の〈みおく〉〈みき〉、在来の紅茶品種からつくる〈ふきみ〉、玉露品種を紅茶にした〈光らいざ〉など。アッサム系からまろやかな緑茶品種まで、自園で収穫した茶葉のみを使用したリーフティー。
初春には庭に咲くロウバイの香りを移したフレーバーティーも限定販売。茶葉は香りを吸収しやすくブレンダーの腕によって様々なフレーバーが味わえるのも魅力だ。

現在は急峻な斜面に新たな茶畑も開墾中。生産する紅茶の8割は飲食店やホテルで提供される業務用とOEM。「和束紅茶」の名前は知らなくても、京都で和紅茶を飲んだら、それは杉本さんのクラフト紅茶かもしれません。

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南山城村「村茶」を味わえるサロンで和紅茶を...
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おとなの週末Web編集部
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