旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■酸味強め
正解:アセロラ
難易度:★★★★☆
生は超レアもの
果物売り場ではあまり見かけないけれど、ジュースやゼリー、サプリメントのパッケージでその名を見かけることが多いアセロラ。
南アメリカ北部やカリブ海諸島を原産とするキントラノオ科ヒイラギトラノオ属に分類される果物です。日本に導入されたのは1958年で、現在では沖縄県や鹿児島県の奄美群島など、温暖な気候の地域で栽培されています。
果実は直径2~3cmほどで、見た目はさくらんぼにそっくり。その見た目から「西インドチェリー」とも呼ばれています。
若い実は青色ですが、熟すと果皮は真紅に変わり、果肉は鮮やかな黄色になります。
地域によって差はありますが、日本国内で栽培されるアセロラの旬は、5月から11月頃です。
さわやかな酸味とほんのりした甘みが特徴で、完熟前のものはとくに酸味が強く、ジュースやゼリー、アイスクリームなど加工品として使われることが一般的です。
アセロラは水分が多く、果肉が柔らかく、果皮も非常に薄いため、ちょっとした衝撃ですぐに潰れたり裂けたりしてしまいます。そのため、生のまま流通することはほとんどありません。
さらに、収穫後は冷蔵保存が必須。ただし低温障害を起こすこともあり、適温管理が非常に難しいことも生のアセロラが市場に流通していない一因です。
アセロラは「酸味種」と「甘味種」のふたつに大別されます。
一般的にジュースやサプリメントの原料として使われるのが「酸味種」と呼ばれるタイプで、強烈な酸味とビタミンCの含有量が多いことが特徴です。沖縄県では、この酸味種が主に栽培されています。
いっぽうで、「甘味種」と呼ばれるアセロラは、酸味が穏やかで、まろやかな甘さを感じられるのが特徴です。ビタミンCの含有量は酸味種に比べてやや少ないものの、それでも一般的な果物に比べればかなりの高水準です。
甘味種は生食に向いていますが、前述のとおり傷みやすく、流通には向かないため、市場にほとんど出回ることはなく、産地での直売や観光農園などでしか味わえません。
産地でしか味わえない「生のアセロラ」は、まさに幻の果物といえるでしょう。