井上尚弥選手の勝利の興奮が冷めやらない日本のボクシング界。日本映画の世界も今、ボクシングで盛り上がっています。8月25日公開の映画『春に散る』は、主人公のボクサー黒木翔吾役を演じる横浜流星さんが作品の撮影をきっかけに競技にのめりこみ、プロボクシングライセンス(C級)を取得するなど公開前から話題です。
元世界王者など超豪華メンバーが撮影に参加!
同作品では元世界王者の内山高志さん、帝拳ジムの田中繊大トレーナーがボクシング監修を務めるほか、元世界王者の山中慎介さん、プエルトリコの名ボクサー、ミゲール・コットと戦った亀海喜寛さん等、ボクシング関係者にはおなじみの方々もゲスト出演しています。
そんな中、元プロボクサーの経歴を持ち、現在、俳優として活動する武田祐一さん(38)も出演。黒木のライバル・中西利男(窪田正孝さん)のトレーナー役として試合をサポートします。また、武田さんは俳優業と並行して、実際のボクシングトレーナー業にも就いており、テレビドラマなどでボクシングシーンの演技指導もしています。
本作では試合シーンも3つ描かれており、プロボクシングの試合さながらの迫力で表現されています。ボクシングと俳優業の両方で、プロの世界を知る武田さんに見どころを訊きました。
作品のあらすじ
40年ぶりに故郷の地を踏んだ、元ボクサーの広岡仁一(佐藤浩市さん)。引退を決めたアメリカで事業を興し成功を収めましたが、不完全燃焼の心を抱えて突然帰国します。かつて所属したジムを訪れ、今は亡き父から会長の座を継いだ令子(山口智子さん)に挨拶した広岡は、今はすっかり落ちぶれたという二人の仲間に会いに行きます。
そんな広岡の前に不公平な判定負けに怒り、一度はボクシングをやめた黒木翔吾(横浜流星さん)が現れ、広岡の指導を受けたいと懇願。そこへ広岡の姪の佳菜子(橋本環奈さん)も加わり不思議な共同生活が始まります。やがて翔吾をチャンピオンにするという広岡の情熱は、翔吾はもちろん一度は夢を諦めた周りの人々を巻き込んでいく、というストーリーです。原作は沢木耕太郎さんの同名小説です。(公式ホームページより)
武田さんに訊く撮影秘話!熱狂の試合シーンは必見
――武田さんはどのような役どころでしょうか?
「中西のトレーナー役ということでセコンドとして試合の場面で入場シーンや、試合のインターバルのシーンでアドバイスを送っています。試合シーンでもリング下のかなり近い所からサポートをしていました」
――元プロボクサーの目線からご覧になって、試合のシーンはいかがでしたか?
「横浜さんは撮影後、プロライセンスも取られましたが、元々、極真空手のチャンピオンになられたこともありましたし、窪田さんも映画『初恋』、『ある男』とボクサー役として続けて出演されていて、撮影スタート時点からレベルが相当高かったです。複雑なコンビネーションを体現し、互いが攻防する姿は本物のボクサーみたいでした」